月別アーカイブ: 2013年5月

グラン・メゾン・・・

先日の定休日、友人からの誘いで業界の大先輩が経営するレストランにお邪魔して参りました。

友人がそのレストランに勤めて居た事もあり、シェフは勿論の事、旧知のソムリエ氏、他 スタッフが居たりして 終止和やかな空気の中、食事をすることができました。

20年振りに伺ったそのレストランは、一部改装されてはいたものの、殆ど28年前のオープン当事より変わり無く、住宅街の一軒家レストランという難しい条件のなか、粛々と維持されていました。


凄い事だと思います。

参加者8人中、5名の方が初対面でしたが、全員が代官山在住の御近所メンバーという事で、早いうちから緊張も解け、御近所話で盛り上っていると、

何故か お店のソムリエ氏が私に分厚いワインリストを・・・

さてはワイン好きが顔に出てましたか・・・


皆様からは「鈴木さん 好きに選んでよ」

と有り難い御言葉を頂戴しましたが、予算はどのくらいか、ましてや皆さんの御好みもわからない。

これは困った。

オーダーするのには、自分の中で随分と葛藤が有りました。

わかりました、一般の常識的金額の中から選ばせて頂きます。

シャンパーニュは、ポル・ロジェ NV。


流石グランメゾン。

エピの倍の金額。敵いません・・・

白は考えず、赤ワイン。

私に任せるということは、

ブルゴーニュ

で良いのですね。

了解。


まず2005年のブルゴーニュの赤がかなりの本数オンリストされていましたが、それらは候補から外します。

メインのお肉料理が
エスニック・テイストのソースらしいので、
ジュヴレイからシャンボールまでで考えました。

熟成感が欲しかったので、なるべくなら古いヴィンテージの物をと思ってリストを見ていると、
ニュイの北側で一番のオールド・ヴィンテージは2004年。
造り手が素晴らしければ間違いの無いヴィンテージですので、年代から造り手を見てみると・・・
(またか と思われるのを重々承知のうえで・・・)
造り手は

《ドメーヌ ジョルジュ・ルーミエ》

間違いない。

畑は 1級 クロ・ド・ラ・ブシェール 2004年。


クリストフ氏のラインナップの中でもモレ・サン・ドゥニ村のワインなら以外とリーズナブルですので、皆様に過度な負担をお掛けすること無く済みそうですし、同じ正規物のワインを試飲したことが有りますので安心です。

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(写真は失念したので、我が家の2010年を替わりにアップさせて頂きます)

御料理との相性もとても良く、抜栓直後から開いた その柔軟さは、2004年というヴィンテージの恩恵に他なりません。

今回は、東日本への復興チャリティーディナーという趣旨の集まりでしたので、お店側もかなりのサーヴィスをしてくれていたと思います、シェフ有り難う御座いました。

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20年振りにお会いした三國シェフ、相変わらずの御活躍で、私もモチベーションを頂きました。

《Non filtré》ノン フィルトレ(濾してない)・・・

ワインをフィルターに掛ける・・・

本来、ワインの再発酵を防ぎ、濁りを取り除き、安定させるためには、必要不可欠な作業。

しかしブルゴーニュワインの神様といわれた あるヴィニュロンが
《Non filtré》でワインを仕込んでいたので、あたかもそれが高級ワインの証であるかのような誤解を招いていた時期がありました。

そもそも《ノン・フィルトレ》の表示をするようになったのは、

「ワインが濁っている、滓が、溜まっている」

などの苦情が来ないように、予め、

「このワインはフィルターを通して無いので、ワインは若干濁っているかもしれないし 滓も溜まりますが、その様に造っているワインですので諸々宜しくお願いします」


ということが言いたかった為にシールを貼ったのが理由で、高級かそうでないかは全く関係ないのです。

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どちらの方法にもメリットとデメリットが有りますので、造り手にしてみたら どちらの方法を選ぶかは、好みと信念の問題ですが 飲み手からするとどちらも選べるこの状況は嬉しい限りです。


直系の後継者、
《エマニュエル・ルジェ氏》と
《ジャン・ニコラ・メオ氏》

前者は、叔父であり師の教え通りの頑ななワイン造り。

後者は、教えを守りながらも 新しい事に挑戦し、必要に応じて手法を変えて行く柔軟なワイン造り。

同じ恩師、同じ畑から造られる違う造り手のワイン。

〈ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ・クロ・パラントゥ〉


飲み比べてみたいです。

《Non filtré》に関しては、
両ドメーヌとも《Non filtré》ですけど・・・

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《Vin non filtré》
《Ce vin n’a pas été filtré》
同じ意味です。

長期熟成に適したワイン・・・

ビオロジック、ビオデナミの造りが徐々に増えてきたブルゴーニュに於いて、長期熟成に適したワインを造ろうとすれば、少なからずリスクを伴います。

例えば、ビオロジック栽培では
《うどんこ病》対策に硫黄を使用しますが、それを使うと ワインが還元的になり、若いうちに抜栓すると 不快に感じる程 硫黄の臭い(還元臭)がすることがあります。

還元香・・・苦手な方が多い様です。

逆に不快に成らない程度の軽い還元は、ワインの長期熟成の可能性を高くし、将来に向けて楽しみなボトルになるはずです。

ただ還元の度合いを意図的に
コントロールすることは難しく、
出来上がったワインが還元方向に振れているようでしたら まず試飲して2本目以降の抜栓時期を判断するしかないでしょう。


《ドメーヌ ルロワ》や

《ドメーヌアンリ・グージュ》

など、知らないで飲むと驚くほど還元的だったりします。

〈マダム ルロワ〉や
〈グレゴリー・グージュ氏〉は、
勿論それを利点として捉え、意識しながら醸造されています。


熟成が程好く進んでからのこれらの
ワインは絶品です。

メリル・ストリープ主演の映画
「ソフィーの選択」。

物語の中で
〈メリル・ストリープ〉扮する主人公の
〈ソフィー・ザフィストフスカ〉

1937年の《シャトー・マルゴー》を飲んで言ったセリフ、

「もしこの世で・・・、この世で聖人のように清く 生きて、そして死んだら、天上の楽園で飲ませてくれる のはこのワインよ」


1940年に同じワインを飲んでも
このセリフは出なかったでしょう・・・

数有るブルゴーニュワインの中で ずーっと先の将来、ソフィーと同じ感想を持てるワインが有るとしたら、それは 若いうちは還元的で飲みにくいワインかもせれません。

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ピジャージュとルモンタージュ・・・

除梗率が高いと発酵が始まる前の潰した葡萄の雑菌繁殖、酸化のリスクが高くなります。

それを防ぐ為にはSO2が多く必要になりますが、醸造中のSO2の添加は酵母の働きを妨げるとも言われてますし、 添加のし過ぎは、良くないとの認識が世界的に拡がっているので、 醸造時の使用は出来れば ごく少量、若しくは無しで造りたい。
(フランスは、ワイン法で使用が義務付けられていますが・・・)

ひとつの例として、

二酸化炭素やドライアイスの使用。

(タンク内の空気を取り除くため、窒素、二酸化炭素を充填し酸素と液体との接触を絶ちます)

全梗(全房)での発酵を選ぶと・・・
リスクは少なくなりますが、それはそれで房と房の間に溜まる空気、(つまり酸素)が酸化を引き起こす原因になるので、SO2を使わないのであれば、やはり同じく二酸化炭素を注入して空気をタンクから追い出しますが、注入量は除梗の時より少なく済みますので効率、かつ経済的です。

(二酸化炭素は空気より重いので、空気を上に押し上げタンクの外に出すことが出来ます)

酸化を防ぐ方法だけでも多岐にわたり、失敗の出来ない選択を強いられています。

除梗か全梗かを決めるだけでも考え方は色々。


除梗で仕込んでいるドメーヌ当主は、

「枝からでる水分がワインの色を薄くするから除梗している」

「枝から出る渋味、えぐみが好きではないから・・・」

と仰ってますし、全房発酵のドメーヌ当主は、


「枝を切るから、そこからエグミが出る。だから手を加えず房ごと使う」

「枝が含む約75%の水分がタンク内の急激な温度上昇を抑える方向に働き、ゆっくりとした 理想的な発酵状態に導ける」

と両者には正統性を訴える色々な理由がありますが、きっと どちらも正しいのだと思います。

ワイン造りに正解はありません。

大事なのは 「その事を」知っているかどうか。

先日お会いした

全房発酵でワインを造る、
フィリップ・パカレ氏が

《マセラシオン・セミカルボニック》

と説明下さった発酵方法・・・


二酸化炭素注入により自然酵母が活性化する前に酵素の作用により葡萄果皮の内側から発酵を始めさせる方法の事で、
メリットは、
発酵が早く始まれば、酸化のリスクは軽減出来、瓶詰めの時までSO2の添加をしなくて済むし、ワインがフルーティーに仕上がる。

デメリットは、
ドライアイス(二酸化炭素)を多く入れ過ぎると温度が上がりにくくなり、その後の自然発酵に影響が出るので、こまめな温度調節が要求され、 それには充分な知識と経験が必要になる。

経験値が上がるまで棄てなければならないヴィンテージが出てきてしまう可能性がある。

《マセラシオン・カルボニック》が
《ボジョレー・ヌーヴォー》を造るときの方法なので、
《マセラシオン・セミカルボニック》
という名称がどうもイメージ的に・・・

というところでしょうか・・・

除梗か全房かだけでも、これだけ考える事があります。

大変?まだまだ。

発酵が始まると、上からの圧力で葡萄を潰し沈める
(伝統的には、主に素足で葡萄を踏みますが、機械的に行うドメーヌもあります)

《ピジャージュ》

をするか、タンクの下からポンプで抜き出したマストを上に戻し入れ、浮き上がった葡萄の房を下に沈める

《ルモンタージュ》

にするのかを決めます。

必要に応じて両方を使い分けている
ドメーヌが殆どですが、
フィリップパカレ氏は、絶対に
《ルモンタージュ》はしないそうです。

一見 葡萄を素足で潰す

《ピジャージュ》

より、
上から葡萄ジュースをかけるだけの

《ルモンタージュ》

の方がデリケートの様に感じますが、どうやらそうでも無いらしいのです。

氏曰く理由は、ふたつ。


ボルドーが起源の
《ルモンタージュ》は、繊細な
ピノ・ノワールには不向きだと言うこと。

ポンプで吸い上げたマストは、空気を多く含み酸化の原因になるのと、酸素により酵母が活発に活動し、発酵が早く進み過ぎる。

たそうです。

気が遠くなって来ました・・・

《ピジャージュ》は発生するガスによる中毒死、アルコールと炭酸ガスにより気絶後、(ハーネスが外れて)もろみの中での溺死など、死亡事故に繋がる危険な作業ですので、なるべくなら
《ルモンタージュ》で済ませたいところですが、デリケートなワインを造るには人の足で丁重に加減しながら葡萄を潰せる
《ピジャージュ》が必要不可欠な作業のようですね。

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原点回帰がいわれる昨今、昔ながらの《ピジャージュ》に戻るドメーヌが増えているそうです。

この先も 選択と決断は続きますが、それはまた別の機会に・・・


ボンヌ・マール グラン・クリュ・・・

《ドメーヌ ユドロ・バイエ 》
〈ブルゴーニュ シャルドネ〉
2011年。

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爽やかな酸が食欲をそそります。

《ドメーヌ ユドロ・バイエ》
〈ブルゴーニュ “ピノ・ノワール”〉
2011年。

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並みの生産者の村名レベルです。

《ドメーヌ クリストフ・シュヴォー》
〈ブルゴーニュ・ルージュ〉
2011年。

o0405072012546174536村名と広域ワインのみで、この知名度は伊達ではありません。

《ドメーヌ G・ロブロ・マルシャン》
〈ブルゴーニュ “ピノ・ノワール”〉
2011年。
ブルゴーニュのドメーヌは、
大型犬を飼っている所が多いのですが、
シャンボール村に住む
フレデリック・ロブロ氏の愛犬もご多分に漏れず大型犬で、
モレ・サン・ドゥニ側のボンヌマールの畑 位から既に鳴き声が聞こえてました。

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《ドメーヌ ユドロ・バイエ》
〈シャンボール・ミュジニー
“ヴィエイユ・ヴィーニュ” 〉
2011年。

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桁違いの凝縮感をお試し下さい。

《ドメーヌ クリストフ・シュヴォー》
〈シャンボール・ミュジニー 村名〉
2011年。

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平均樹齢40年の、本当はヴィエイユ・ヴィーニュを名乗っても良いくらいのワインです。

《ドメーヌ ユドロ・バイエ》
〈シャンボール・ミュジニー
“レ・クラ”〉 2011年。

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昨年、2007年の

《ドメーヌ ジスレーヌ・バルト》、

《ドメーヌ ジョルジュ・ルミエ》、

《ドメーヌ ユドロ・バイエ》

の “レ・クラ” を飲み比べましたが、
若いヴィンテージなら、
《ドメーヌ ユドロ・バイエ》が
有利な造りでしょうか。


《ドメーヌ ユドロ・バイエ》
〈ボンヌ・マール グラン・クリュ〉
2011年。

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もはや説明不要ですね。
じっくりと味わって頂きたいワイン。


以上のワインが入荷致しました。

ご興味有れば幸いです。

品切れの際は御容赦下さい。

 

ドメーヌ ユドロ・バイエ 2011年・・・

2012年6月にドメーヌを訪問させていただいた、
シャンボール・ミュジニー村の
造り手、
ドミニク・ル・グエン氏が当主を務める
《ドメーヌ ユドロ・バイエ》

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の2011年ワインが今年も入荷しました

〈ACブルゴーニュ ルージュ〉

〈ACブルゴーニュ ブラン〉


樹齢63年から68年の葡萄により造られている

〈シャンボール・ミュジニー
ヴィエイユ・ヴィーニュ〉。

シャンボール・ミュジニー村の4つのリュー・ディ
(ナゾワール、バビエール、モンビ、デリエール・ル・フール)をアッサンブラージュして造られています。尋常ならざる凝縮感は圧巻。


最新ヴィンテージのワインですが、
ヴィエイユ・ヴィーニュのワインは地中深くまで根が伸びていて、色々な時代の地層から複雑なミネラル分を吸収しているので、普通の村名クラスのワインとは一線を画します。

5人の所有者からなる

〈シャンボール1級
《レ・クラ》〉。

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所有者は5人ですが、所有者自身がワインを造っているのは3人。

《ドメーヌ ジョルジュ・ルミエ》

《ドメーヌ ジスレーヌ・バルト》

《ドメーヌ ユドロ・バイエ》

の3人だけです。


ちなみに
《ドメーヌ パトリス・リオン》の 《レ・クラ》は村名ですので、お間違えの無い様に。

『ドミニク・ル・グエン氏』がご自身の所有クリマの中で一番好きだと仰っていたワインで、私も同じく・・・です。

そう言えば、以前お会いした
『クリストフ・ルミエ氏』もご自身のアペラシオンの中で
《レ・クラ》が一番好きだと仰ってました。

ただ、開きにくい性質のクリマなので早目の抜栓ならば、
《レ・シャルム》の方が向いていると思います。

《ドメーヌ ユドロ・バイエ》の裏に位置する
《レ・クラ》の畑は、まるでこの
ドメーヌの裏庭のように広がっていて、ワイン好きにしてみたら最高の借景ですね。


シャンボール村の中でも、いつでも涼しい風が吹いていますので、葡萄には綺麗な酸が自然に備わります。

今や、割り当てでしか買えなくなってしまった、
ドメーヌ フラッグシップ

《ボンヌ・マール
グラン・クリュ》

が帳合先のご厚意で今年も入手することが出来ました。

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樽から頂いた2011年は、見事としか言いようがありませんでした。

100%除梗、ピジャージュの回数を減らした効果が表れているようで、上品さに更なる磨きが掛かってます。

2004年物に惚れ込んで以来、毎年追いかけているワインでして、毎年この時期はそわそわしてます。

何しろ2010年と2011年は瓶詰め本数が例年より少ないと聞いていたので、今年の心配は尚更だったのです。

皆様のご興味が有れば幸いです。

以前のブログで書きました 樽の焼き加減を示すマークの写真が有りましたのでご紹介します。

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(ドミニク・ル・グエン氏のワインの多く、はミディアム・プラスです)。

 


その、《レ・クラ》を所有している2人、

『クリストフ・ルミエ氏』と

『ドミニク・ル・グエン氏』

に手ほどきをうけた


《ドメーヌ G.ロブロ・マルシャン》

の各ワインも正規代理店より入荷です。
「G」は先代
『ジェラール・ロブロ氏』の頭文字。

このドメーヌで今ワインを造っているのが、20代の若き
『フレデリック・ロブロ氏』。

ドメーヌ廃業の相次ぐ
シャンボール・ミュジニー村に於いて期待の星ではないでしようか。


お手頃なACブルゴーニュ辺りからお試し下さい。


最後は、
《ドメーヌ クリストフ・シュヴォー》

父上が元DRC社員とか家族全員がDRC職員とかワイン誌の紹介文などに書いてありますが、DRCを引き合いに出さなくても、ワインを飲めばわかります。


「1級畑」も「特級畑」も所有していないのに、世界的に有名なのは、単に造られるワインが素晴らしからに他なりません。

各クリマの味わいがとてもよく表現されていて、
《グラン・クリュ》まではいかないけれど、
《プルミエ・クリュ》クラスには勘違いしてしまいそうな位に、素晴らしいワインで、是非一度お試し頂きたいドメーヌです。

驚きますよ。

届いたワインの写真はまた別の機会に・・・

シャンボール村の教会の裏手にある、モニュメント。

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シャンボール・ミュジニー村の

「教会の中」

にある 聖母マリア像は、
「物凄く不細工」といわれていて、ブルゴーニュでは器量がよくない人の事を
「シャンボールの聖母像みたいだ」と揶揄する材料にもなっているくらい有名です。

「教会の外」

の駐車場前に置かれているボロボロの像を、「それ」だと思ってらっしゃる方が多いのですが、

“全くの誤りです”。

ボロボロ過ぎて判りにくいのですが、それは多分

ヨセフか、大天使ガブリエルか、キリスト像です。

教会内に入ると、
とてつもなく美しい聖母マリア像が「3体」と、向かって左側の柱に「1体」ひと目でそれと判るマリア像があります。

写真は控えますが、ブルゴーニュへ行かれた際には、御覧になられたら如何でしょうか。


確かにヨーロッパ的な美しさとは違うのかもしれませんが、菩薩の様な微笑みと、包容力を感じる丸みを帯びた全体のシルエットは秀逸。
佇まいのとても美しい像だと、
私は思います。

コート・ドールのグラン・ヴァンを飲む会 報告・・・

今回は参加募集人数10名の会でしたので、お問い合わせ頂いたにもかかわらず、参加して頂けなかった皆様、次回お待ちしております。

当日 1名のキャンセルが出ましたが、余りにもギリギリの連絡だったので キャンセル待ちの方に連絡が出来ませんでした。申し訳ございません。

それでは、ワイン会の報告をさせていただきます。
まず
『シャンパーニュ』・・・

《ポル・ロジェ》
“ブラン・ド・ブラン”
ヴィンテージ2000。

先だってテイスティングセミナーで頂いたボトルよりも、更に素晴らしく感じました。
現行ヴィンテージにも関わらず 既に漂う熟成した赴きの味わい・・・
ブラン・ド・ブランの酸が心地好く、次なるワインへの繋がりを考えると最良のスタートだったと思います。


『白ワイン』・・・

《ドメーヌ シモン・ビーズ》
コルトン・シャルルマーニュ
グラン・クリュ 2005年。

クリストフ・ルミエ氏の
コルトン・シャルルマーニュの葡萄をメインテナンスしていることで知られているパトリック・ビーズ氏ですが、勿論ご自身の葡萄にも抜かりは有りません。
穏やかな酸と長い余韻は、ほんのり残るハチミツの香りと共に、安定したグラン・クリュの風格を醸し出していました。
このドメーヌの白ワインに対する温度管理の拘りは尋常では無いのですが、それが結果に表れていると思います。ただただ美味しい。

そして、
ブラインド1本目・・・


《ドメーヌ カミュ ペール・エ・フィス》
シャルム シャンベルタン
グラン・クリュ 2000年。

ブラインド2本目・・・

《カミュ ペール・エ・フィス》
マゾワイエール シャンベルタン
グラン・クリュ 2000年。

この2本をブラインドで試飲する意味は、皆様おわかり頂けるかと思います。
(以前のこのブログ
『ドメーヌ カミュ ペール・エ・フィス』の回で説明していますので、御覧になって下さい。)

やはり、似てはいるものの 参加者9人全員がその違いを感じ取っていました。

これだけ違うワインになるのなら、このドメーヌのこの2つのワインは、別々のアペラシオンとして瓶詰めして然るべきです。

正解者は居ませんでしたが、ヒントでクリマを正解したメンバーがひとりいました。


『赤ワイン』・・・

《アンドレ・ジルトゥーネル》
シャンボール・ミュジニー
プルミエ・クリュ
レ・ザムルーズ 2009年。

ブルゴーニュに行くと必ずお世話になるホテル、であり ワインの造り手。
《アンドレ・ジルトゥーネル》のワインです。
日本では販売されていませんので、また買いに行かないといけなくなりました。


いかにもシャンボールらしい香りから始まり、時間経過と共に変化する味わいは、参加者から溜め息がこぼれる程に上品で、繊細。
日本で聞くことの無い
この造り手のワインがとてつもなく美味しい。

『赤ワイン』・・・

《ドメーヌ ジャック・プリウール》
ミュジニー グラン・クリュ 2008年。

何度も試飲したことのある
造り手、キュヴェ、ヴィンテージ。
『ナディーヌ・ギュブラン』さんが造るようになってからの、
〈ドメーヌ ジャック・プリウール〉
は、とても良いです。
今回のワイン会で一番人気。

毎回期待を裏切らないワインです。

シャンボール・ミュジニー村の
グラン・クリュ、
『ミュジニー』は、
3つのリュー・ディから成っていますが、
まず北側から
〈レ・グラン・ミュジニー〉、

南隣の
〈レ・プティ・ミュジニー〉、


最南端の
〈ラ・コンブ・ドルヴォー〉。

《ドメーヌ コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ》が
〈レ・プティ”ミュジニー〉の全てと
〈レ・グラン・ミュジニー〉のほとんどを、

そして
〈ラ・コンブ・ドルヴォー〉の全てを
《ドメーヌ ジャック・プリウール》が
モノポールで所有しています。

ちなみに リュー・ディ名
〈ラ・コンブ・ドルヴォー〉は

「村名」、

「プルミエ・クリュ」、

「グラン・クリュ」


の3つがありますので、購入の際は注意が必要です。
「グラン・クリュ」にはリュー・ディ名が記載されていませんので、逆に間違える事は無いですが、
「村名」と「プルミエ・クリュ」はエチケットを良く御覧になって下さい。

まず値段で気付くとは思いますが・・・

 

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以上のグラン・ヴァン6本。


今回、ほとんどの参加者が初めての参加か、2回目の参加でしたが、盛り上がり方は凄まじく 時間があっと言う間に過ぎて行きました。

皆様、お疲れ様でした。

 

ボルドーのグラン・ヴァン・・・

何度か試飲した事があるワインです。

自分で購入、試飲したのは、
1990年の1本だけですが、あとは試飲会かワイン会での経験です。

ボルドーの中では5本指に入るくらい好きな銘柄ですが、
如何せん高価でいつでも飲めるわけではありません。

「はい シェフ。プレゼントだよ、これ飲んで~」


と言って先輩が持って来てくれたのは、見たところ どうやら
〈オールド・ヴィンテージ・ワイン〉

先ずはブラインドで頂きましたが、古酒であること以外、良い意味で突出した部分を感じない まるで球体のイメージ。

持てる要素が多すぎて、逆に何も掴み取れない感覚に陥ります。
(私の経験不足を鑑みても、です)

液体に重さは無く、す~っと体に染み入るこの感じは 抜栓を我慢し続けた人間にのみに許された
〈オールド・ヴィンテージ・ワイン〉
でだけの体験。

ただ 《サン・ヴァンサン》は気まぐれに目の前に現れてくれる事も有るようで、
今回 私の様な、我慢の足りない人間にも微笑んでくれました。


今回の場合、
天国の門番《サン・ぺトロ》ですか・・・

ヒントでワインは分かりましたが、まさか そのワインだとしたら、余りにも高価。

あり得ない・・・

「えっ?まさか・・・本当に?」

元々は混合品種として見られていた葡萄品種、
「メルロー」を95%~100%使用して造られている当時としては、常識はずれのワイン。

1945年からこのシャトーを単独所有していた
《マダム エドモン・ルバ》が、

「ボルドー5大シャトーより安価では、販売しません」

と言った話は有名です。


ニューヨークのレストラン
《ラ・パヴィヨン》に売り込みを掛けて、大成功を納めた
初代《ポムロールの奇跡》。

《ペトリュス》

その1985年物。o0405072012535633304
20年前に購入、
7年前に抜栓。の
1990年エチケット。

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サン・ぺトロが描かれています。

久しぶりに頂いた
グラン・ヴァン《ペトリュス 》。

1990年の《ペトリュス》に対する試飲記録に書かれた私の印象記とは、全く違う体験をさせて頂きました。

何気無く持って来るには、余りにも豪華なワインで驚きました。

フランス料理界の重鎮は、気前が良い方が多く、そのサプライズはいつでも私の想像を越えています。

Y先輩、ご馳走さまでした。

ちなみに、上記の ニューヨークにあった、
ケネディ大統領御用達のレストラン。

《ラ・パヴィヨン》と言われていますが、《パヴィヨン》は男性形の名詞ですので本来は
《ル・パヴィヨン》です。

店名にする位ですから、辞書は調べたと思いますので、単にオーナー
《アンリ・ソーレ氏》の
「言葉の響きの好み」でそうしたのでしょうね。

 

モンラッシェ グラン・クリュ・・・

前回のブログ、《アムルーズ》のお話し。

最後の

「靴に泥が・・・云々・・・」

の説ですが、女性形か、男性形かの問題は相変わらず残ります。

この説の場合、本来は男性形の
「Les Amoureux(レ・ザムルー)」で良かったのだと思います。

しかし、フランス語を勉強をしているとしばしば有る事例ですが、

《会話の流れ上》

《収まりの都合上》

《語感の良さ》

最も大事な《発音のしやすさ》

が優先されて、文法上の決まり事は、完全に無視されます。

〈エディット・ピアフ〉などの時代のシャンソンは良い例で、歌いきる場合 語尾がフェイドアウトする文言だと譜割の帳尻が合わせにくいし、感情が込めにくいし、収まりが良くないので、歌うときは本来の歌詞と違うのは当たり前です。
(女性形を当てはめたり、複数形に変えたり、変な言葉で余白を埋めてみたり)


したがって、フランスでは、

『Les Amoureuses(レ・ザムルーズ)
の方がきこえが良いでしょ?
伸ばして終わるのではなく、
“ズ”で終わるから収まりも良いし、
何よりも言いやすいし・・・』

位の感じで女性形になったのだと思います。

フランスは例外が多いのです。

本当の語源は誰にもわかりませんが・・・

やはりここは「恋する乙女達」でお願いします。

親しくしていただいている
ブルゴーニュ サントネイ村の
〈ドメーヌ フルーロ・ラローズ〉

《モンラッシェ グラン・クリュ》の所有者としても知られています。

〈ドメーヌ ド・ラ・ロマネ・コンティ〉社の
(グラン・クリュ街道を背にして)
真右隣に広大な区画を所有していましたが、斜面に対して水平方向に5分割して3~4ドメーヌ

〈ドメーヌ ルフレーヴ〉

〈ドメーヌ エドモン・ドラグランジェ・バシュレ〉(その後さらに2つに分割される)

〈シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ〉に売却して

今は0.45ヘクタールの畑から極少量、瓶詰め販売されています。

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生産本数年間280本から300本。超稀少ワインです。


《ル・モンラッシェ》
《モンラッシェ》、合わせて16人の所有者が居るクリマですが、
ワインを造っているのは15人。
わずか0.04ヘクタール所有の
〈シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ〉などは、余りにも畑が小さすぎて年間わずかに150本弱。

《モンラッシェ》のクオリティを保つのは、大変だと思います。

シャサーニュ側の
〈ドメーヌ ジャック・プリウール。

o0405072012536181038ワインショップが多く立ち並ぶボーヌの街には、
《モンラッシェ》の全ての所有者を網羅した
《モンラッシェ》だけの素晴らしい本が販売されているので、見つけてみて下さい。

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その所有者全員が出席した

《モンラッシェ》所有者による食事会が何年か前に催されたそうで、その時の参加コードが 各々の
《モンラッシェ グラン・クリュ》
を2本づつだったようで、何とも豪華な宴だった事でしょう。

〈ドメーヌ フルーロ・ラローズ〉の建物は元々
〈デュヴォー・ブロシェ氏〉が所有していた建物で、つまり
〈ドメーヌ ド・ラ・ロマネ・コンティ〉社のワインは当時、この場所で “エルヴァージュ” されていました。

ピュリニー側は《モンラッシェ》

シャサーニュ側は定冠詞を付けて
《ル・モンラッシェ》

と言われていますが、
シャサーニュ側の区画を所有しているドメーヌでも男性形定冠詞
“ル”を今現在エチケットに記載しているヴィニュロンは僅に2人。
〈ヴァンサン・ジラルダン〉と
〈フォンテーヌ・ガニャール〉だけです。

あまり拘ってはいないようですが、そもそもこれはリューディ名であってクリマ名は、両村とも
《モンラッシェ》
なのでは?と思いますけど・・・
逆にリューディ名はエチケットに記載しない話では・・・?

余計なお世話でした。

〈ドメーヌ フルーロ・ラローズ〉の様に
1994年は《ル・モンラッシェ》
2004年はただ《モンラッシェ》とだけ書かれている、その様な事も有るようです。

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当主のニコラさんと奥様がエピに食事に来てくれたのは、本当に嬉しかったな~。

Les Amoureuses・・・

コート・ドールは「黄金丘陵」と訳されていますが、元々は、
東(オリオン)に面した丘
《コート・ドリオン》つまり
(コート・ド・オリオン)でした。
(Orient “東向” → Or “金”)

しかし、実際 秋頃には黄色に色付いた葉が黄金色に見えます。

また黄金丘陵の方が風情があって良いと思いますし、フランス人もそれで良いと言っています。

サヴィニィ・レ・ボーヌのクリマ

ヴェルジュレスも諸説あり 面白いです。

ひとつは、
ブルゴーニュ公国の大公にこのワインを献上したところ、大変お気に召した大公は
「Vin je bois・・・verre je laisse・・・ 」

(ヴァン ジュ ボォア ・・・ヴェール ジュ レス・・・)

訳すと

「ワインは飲み干し、グラスを置く」。

と仰ったとか。

もうひとつは、9世紀から12世紀にかけて勢力を誇った、
ヴェルジー(Vergy)家。
今でもブルゴーニュの至るところにその名前が残っています・・・通り名であったり、畑名であったり。


「ヴェルジー家が定住した丘へ向かう途中にある村」

フランス語の訳が分かりませんが、そこから派生した言葉。

この説が有力です。

上の説の方が、ロマンを感じますけど・・・

問題はシャンボール・ミュジニー村のプルミエ・クリュ
アムルーズですね。

まず文法的解釈でいうと、

数多あるワイン誌に書いてある
「恋人たち」は間違えています。
「間違え」は言い過ぎかもしれませんが、
これは「女性同士の恋人達」になります。
《Les Amoureuses》ですから、女性形の複数です。(今の感覚ですとそれで良いのかも・・・しれませんが・・・)

もし男性を含むカップルが一組でも居たり、その団体に一人でも男性が居れば男性形の名詞、形容詞で呼ぶので、

《Les Amoureux》になります。

フランスは文法だけは、男性が強いですから・・・o0405072012532907893上手い訳がありました。

「恋する乙女達」。

これはいい。これなら文法上もおかしく無いし、何よりもワインのイメージにピッタリ。

その昔、
《ミュジニー・アムルーズ》と呼ばれていた事を鑑みると、恋するお相手は
《ミュジニー・グランクリュ》でしょうか。


でも、もう1つ説があります。
これはご存知無い方がほとんどだと思いますが、ブルゴーニュでは、結構有力な説です。

気を確かに持って下さい。全くロマンチックではありませんから。

「雨が降った後のその畑は、土が重たく、泥が靴にくっ付いてなかなか取れない・・・まるで愛し合う恋人たちの様に・・・」。

ある意味テロワール。