月別アーカイブ: 2012年9月

ドメーヌ アンヌ=フランソワーズ・グロ・・・

この一族ほど、家系図を引っ張り出されている所もないのでは無いでしょうか?

”ファミリーに似た名前のドメーヌが有ったりして複雑に感じてしまうから” かもしれません。

今は4つのドメーヌ名を知っていれば良いのですから簡単です。

《ドメーヌ ミッシェル・グロ》 当主 ミッシェル・グロ氏。

《ドメーヌ グロ フレール エ スール》 当主 ベルナール・グロ氏。

《ドメーヌ アンヌ=フランソワーズ・グロ( ドメーヌ A・F グロ)》 当主 アンヌ=フランソワーズ・グロ女史。

ここまでが ジャン・グロ氏の子供達。

最後に従姉妹の《ドメーヌ アンヌ・グロ》 当主 アンヌ・グロ女史。

ジャン・グロ氏の弟さん フランソワ氏の娘さんです。

現在の 《ドメーヌ アンヌ・グロ》の前身が (フランソワ氏が引退するまでの ドメーヌ名)《ドメーヌ アンヌ・エ・フランソワ・グロ》 だったので 混乱していました。

世界的には 孤高の天才醸造家アンヌ・グロさんが頭抜けて有名ですが、1988年にフランソワ・パラン氏が醸造に携わる様になってからのドメーヌ アンヌ=フランソワーズ・グロは素晴らしいですし、次男のベルナール氏は生産量の半分を日本に輸出している為、ワインショップ等で本当に良く目にします。ご存知の方も多いのではないでしょうか?

長男ミッシェル・グロ氏は、日本のワイナリーとのつながりが強く、メディアにも多く露出していますので、言わずもがなですね。

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ドメーヌ フラッグシップの畑である父ジャン・グロ氏の特級畑リシュブールは次男のベルナール氏と(妹で)長女のアンヌ=フランソワーズさんに相続されました。

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(お城の様なベルナール氏のドメーヌ)

これに アンヌ・グロさんのリシュブールが
加わるので 今現在 一族の内 3人が このグラン クリュからの葡萄でワインを造っています。

標高の高い所がベルナール氏、中腹がアンヌ=フランソワーズさん、その下がアンヌ・グロさんの所有畑。

アンヌ・グロさんの所有畑は ロマネ・コンティの畑とほぼ同じ標高、向かって右側にあり最高のリューディーです。

3ドメーヌのリシュブールを飲み比べてみると、やはりドメーヌ アンヌ・グロが異次元の品質です・・・が 値段も雲上ですから比べるのは無意味かも知れないですね。

余談ですが、1988年~1995年のリシュブールは長男のミッシェル・グロ氏が醸造を行い、ミッシェル、ベルナール、アンヌ=フランソワーズの3ドメーヌのエチケットを張って出荷している為、中身は全部同じワイン。ですので 3種類揃えても意味がなく、比較試飲の際は注意が必要です。

飲み比べといえば、以前インタヴューでアンヌ=フランソワーズさんがこんなことを仰ってました。

「ジャン・グリヴォとベルナール・グロと私(アンヌ=フランソワーズ)のリシュブール 1997を持ちより(2010年時)3人でブラインドテイスティングをした所、誰も自分のワインを当てられ無かった。偉大なテロワールは時間が経つと同じになる。」

(カッコ内筆者註訳)

お話 深過ぎます・・・

ともあれ 酸の表現に独特な個性を見いだした ドメーヌ アンヌ=フランソワーズ・グロ。
コストパフォーマンスは一族で一番良いのではないでしょうか?

(アンヌ=フランソワーズさんの色々な画像は後日アップいたします)

ドメーヌ ジャック・プリウール ミュジニー グラン クリュ 2008年・・・

粘土質が多い リューディ・コンブ・ドルヴォーの特徴である、少しスパイシーな香りが見事に表現されています。

力強さと気品を備わせる為、リスクを承知の上での遅摘みが功を奏していて、その存在が表す高級感は上品の一言。

“ミュジニーに果梗は必要無し”との考えから100%除梗。

過剰なタンニンを抽出しないように例年並みの色にならなくても《良し》とした2008年。

ピジャージュの回数を減らし抽出を抑え気味にした事で、除梗発酵なのに色は若干薄目ですが バランスを考えた結果の事です。

新樽100%の恩恵によるタンニンの安定が見てとれ、エレガントさの演出に一役かっています。

味わうと、樽が見事に溶け込んでいて
短く無かった樽熟成の期間を伺わせてくれます。恐らく23~24ヶ月。

DRC並みの長期にわたる樽熟成。

先日 試飲の機会に恵まれた ドメーヌ ジャック・プリゥール

《ミュジニー グラン クリュ 2008》

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最良の区画とは言い難いパーセルから造り出される 平凡だと言われたヴィンテージの このミュジニーが素晴らしく美味しい。

(実は2008年のワイン、天候だけでみると優良年とは言えませんが、出来上がったワインは素晴らしい品質の物が多く、そろそろヴィンテージ チャートを書き換えても良いのでは?と思います・・・
もっとも ブルゴーニュワイン好きは ヴィンテージチャートを気にしてないですけど・・・)

畑仕事が8割~9割といわれているワイン造りに於いて、醸造責任者の仕事とは何かをナディーヌ・ギュブランさんはこのワインで教えてくれます。

是非お試し下さい。

ドメーヌ ロベール・シリュグ・・・

「2007年からタンニンの抽出を控えめにした」

と ドメーヌ 当主 ジャン=ルイ・シリュグ氏がインタヴューで仰ってました。

方向性を変換したということです。

これは大変な事なのです。
今までの顧客を失うかもしれないのですから・・・

2007年ヴィンテージには、その変化が見えにくかったですが 2008年ヴィンテージでは、明らかにエレガント路線にシフトされていました。
昔ながらの凝縮感の有るブルゴーニュスタイルを残しながらの華麗なるシフトアップです。

ドメーヌ ロベール・シリュグ・・・

AC ブルゴーニュ ルージュ 2008年。

とても人気のあるドメーヌでなかなか手に入らないと思いますが、お薦めの一本です。
6月渡仏の際、ヴォーヌ・ロマネ村に在るドメーヌにアポイントメント無しだったのですが、一か八かで試飲のお願いをした所、とても親切な対応をして下さりました。


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当方の日程が合わず 泣く泣く断念しましたが、次回ブルゴーニュへ行く楽しみが一つ増えました。

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帰国後 2010年ヴィンテージを試飲しましたが、以前からの このドメーヌ愛飲者も納得の仕上がりで、方向変換は見事に成功したようです。

ドメーヌ フーリエ・・・

所有畑の殆どと醸造所が《ジュヴレイ シャンベルタン村》に在る事、トップ キュヴェが 《グリヨット シャンベルタン グラン クリュ》 と言うことで 《ジュヴレイ シャンベルタン村》のワインに目が行きがちですが、《モレ・サン・ドゥニ村》、《ヴージョ村》、《シャンボール ミュジニー村》の葡萄で造られるワイン達も素晴らしいです。

そう ドメーヌ フーリエ。

このドメーヌ、リリースされている全てのワインが “ヴィエイユ・ヴィーニュ”で、若い葡萄樹から生る葡萄果汁とは圧倒的に凝縮感が違います。

先日、知人のレストランを訪ねた際 《2007年 シャンボール ミュジニー プルミエ クリュ “レ グリュアンシェール” ヴィエイユ ヴィーニュ》がオンリストされていたので、迷わずオーダー。

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とても入手困難なワインでリストアップしているレストランは、少ないです。ましてや 5代目当主 ジャン=マリー・フーリエ氏 大成功の2007年!

以前飲んだトップ キュヴェの 《2007年 グリヨット シャンベルタン V.V 》が破格に美味しかったので 自ずと期待値も上がります。

蝋キャップを取り去り抜栓・・・

圧倒的な香りの洪水。

腰が抜ける程艶かしい赤色。

香りに違わない味わい。

口内で弾ける複雑な味覚。

すぅーっと喉の奥に流れ落ちて行くシルクの様な滑らかさ。

次にグラスを口に運ぶまで消えない長い余韻。

この シャンボール 1級は凄い。

非の打ち所無し・・・

《ドメーヌ ぺロ・ミノ》、《ドメーヌ ダヴィッド・デュバン》、《ドメーヌ フーリエ》 など ヴィーニュ・ヴィーニュの葡萄樹を多く所有しているドメーヌは、セニエする必要も、高価なコンサントラ・チュール・ド・ムーを使う必要も無いのです。

ドメーヌ フランク・ジュイヤール ・・・ワイン試飲会シーズン・・・

今週から怒濤の試飲会シーズンに入ります。

生産者を招いての会も多いので、とても楽しみです。

既に春頃から私共レストラン業界には2010年ヴィンテージが出回っていますけれど、本格的に一流ドメーヌが日本向けに出荷するのはこの時期、つまり涼しくなってから・・・

6月に渡仏の際、日本用に壜詰めされた出荷待ちのワイン達を全てのドメーヌで確認することが出来ました。
(日本が)暑い時期を避けての出荷です。

以前このブログでご紹介した11月解禁のボージョレ・ヌーヴォー。

2012年間物は
8月位からインポーター各社よりオファーがあり、人気の少量生産ボージョレはこの時期に確約を取り11月に入手します。
人気ドメーヌの希少ワインを手にいれるには早めの判断が必要です。

今年エピではごくごく少量生産で地元ボージョレのレストラン等で愛飲されている 造り手のヌーヴォーを発注しました。

ドメーヌ フランク・ジュイヤール。

ボージョレ ヴィラージュ ヌーヴォー キュヴェ スペシャル 2012

1~2年後、いや それ以上でも美味しく飲めるヌーヴォーで、口にした瞬間に低収量、厳しい選果であることがわかり、丁寧な手作業が目に浮かびます。

取り扱えるのは今年が初めてですが、2年前からフランク氏のヌーヴォーを試飲していて、その品質の高さは承知していますので、今から2012年の仕上がりがとても楽しみです。

ワインが好きと仰る方の中には、ボージョレ ヌーヴォーのイベントというか このワインに対してネガティブな考えをお持ちの方も多いかと思います。

しかし新酒を飲むということは、一年半~二年後にリリースされる、つまり今年収穫された葡萄の出来をいち早く味わうための御祭りですから、先ず私達 ワイン好きが大いに楽しみましょう!

11月15日解禁です。