月別アーカイブ: 2013年9月

シャンパーニュを飲むということ・・・

ワイン好きが ワインを飲みたくて入ったレストランで 先ずオーダーする飲み物は 十中八九 間違いなくシャンパーニュです。

メニューに生ビールが有ろうが無かろうが、グラス売りでシャンパーニュが有るならそれを注文します。

(フランス国境を掲げている店舗で
グラスシャンパーニュを置いてないとしたら その店では ワインを飲むのを控えても良いと思います)

それくらい
フランス料理とシャンパーニュは
密接な関係にあります。

ハリウッド映画では、女性を誘うとき引き合いに出されるのは
バーガンディーワイン
(ブルゴーニュワイン)が圧倒的ですが、

ヨーロッパ映画では、主人公が男性でも女性でもシャンパーニュで誘いますね。

「シャンパーニュが冷やしてあるけど 今から飲みに来ない?」

良く聞きます。

そして 誘いが成功すると 夜のうちに半分くらい飲み、残りは翌朝。

となるのですが、
その朝 フルートグラスに注がれたままの シャンパーニュにまだ泡が残っていたら・・・

それは高級シャンパーニュの証しです。

丹念に造られたシャンパーニュは
きめ細やかな泡が驚くほど長続きするのです。

コーラやビール、シャンパーニュ製法で造られていない発泡性ワインだったら そうはいきませんね。

映画の中に登場するアルコールとしては、恐らく一番多く利用されている、フランス シャンパーニュ地方で製造されている発泡性ワイン。

シャンパーニュ。

劇中 酒屋店主とのやり取りで、シャンパーニュを購入した主人公に対し

「何かお祝い事ですか?」と聞いているシーンを何度か見たことがあります。

日本でいうと
「鯛の尾頭付き」か
「御赤飯」ですね。

有名なところでは、

「プリティウーマン」

「タイタニック」

「カサブランカ」

「月の輝く夜に」

「めぐり逢えたら」

「おしゃれ泥棒」

「麗しのサブリナ」

一連の007シリーズ。

などのスクリーンの中で、印象的に使用されています。

共通していえることは、どの場面も全て幸せなシチュエーションでシャンパーニュが登場しているところでしょうか。

お祝いのお酒なんですね。基本的に。

トム・ハンクス、
デンゼル・ワシントン主演の映画
「フィラデルフィア」 では 悲しい場面での
シャンパーニュ登場でしたが、

安いカリフォルニア産
スパークリング・ワインと
高級シャンパーニュ
ドン・ペリニョンの使い分け方に
センスを感じずにはいられませんでした。

お祝い事が別段無くても、
シャンパーニュを飲むと華やかな気持ちになります。

色合い、口当たり、風味、喉越し、余韻。

全て兼ね備えた飲み物 シャンパーニュ。

相手を元気付ける為に開けるのも良いですね。

o0405072012697847886o0405072012697847896

エピのハウスシャンパーニュ2種類。

ブルゴーニュ、コート・ド・ニュイ、双璧の2村・・・

ブルゴーニュ地方に必要のない産地などひとつも有りませんが、

ピノ・ノワールを代表する産地を2つ挙げなければならないとするなら、
この2村が候補にあがると思います。

ジュヴレイ・シャンベルタン村。

ヴオーヌ・ロマネ村。

グラン・クリュの数だけとっても圧倒的に多いですし、
ひとつひとつのクオリティが異次元に高い。

「厳格な」と枕詞を付けて表現されることの多いジュヴレイ・シャンベルタン村のグラン・クリュ。
異論の余地はありません。

以前ご紹介したので
9つあるグラン・クリュの畑
全てはご説明致しませんが、
どの畑も村を代表するに相応しい貫禄です。

一方、「女性的で豪奢」な印象のヴオーヌ・ロマネ村のグラン・クリュは
8つ。

うち 4つの畑が 単独所有 いわゆるモノポールですので、豊潤でお金持ちの集まる村というワインに相通ずるイメージがあります。

それぞれの宗派、土壌によって全く違う印象で語られることが多い この2村ですが、

実は ヴオーヌ・ロマネ村 の中だけでも

リシュブールより北は
「厳格なシトー派」、

隣のロマネ・コンティから南は
「贅沢なベネディクト派」。

と対極の宗派が存在し、

それ以外に もうひとつ アンヌ・グロさんの話によると、

質素なキリスト教と

富の象徴ブルボン王家 コンティ公

という図式もあるようで、

この相反する2つの勢力が入り交じった場所でもあるのがヴオーヌ・ロマネ村。

だそうです。

余談ですが、ロマネ・コンティより南側に、高価な畑をモノポールで所有出来続けた理由。
おわかりいただけたかと思います。

上記の来歴を知ると この村には、厳格なワインが有っても良いし、豊かで豪奢なワインが存在しても不思議ではないと 思えてきます。

何をもってしてヴオーヌ・ロマネのワインとするのか、実はとても曖昧です。

そして先日御注文頂いたこの2本。

o0405072012694160688

ドメーヌ ペロ・ミノ シャンベルタン グラン・クリュ 2009年。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ ヴオーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ キュヴェ デュヴォー・ブロシェ 2009年。

(正規代理店では、2009年ヴィンテージより こちらのワインは酒販店への販売をしなくなり、我々レストラン業種のみの取り扱いとなった様です。今年も割り当てを頂けますでしょうか、気になります。)

ドメーヌ ペロ・ミノのシャンベルタンは厳格ながらも、陽気で華やかな印象のクリストフ氏が造った事を知って飲むと 少し違った印象になるかもしれません。

ワインを良くご存知のお客様にブラインドでお出ししたところ その柔らかな印象から ニュイ・サン・ジョルジュ のワインと答えてらっしゃった位です。

気持ちわかります。

一方の DRC のワインは、
ヴオーヌ・ロマネ村全域の
同社所有 グラン・クリュ畑の若樹を
アッサンブラージュしていますので、
平均的な・・・と言いたいところですが
ヴオーヌ・ロマネ村の王道、
ベネディクト派の影響が色濃く出ていたと思います。
アッサンブラージュの割合で南側の畑が多かったとしたら、何とも贅沢な一級ワインです。

エッフェル塔 最新バージョン・・・

近所の雑貨屋さんに素晴らしくシャープな仕上がりが期待出来るエッフェル塔のエッチング組み立てキットを見つけました。

作り方はシンプルでかんたんですが、綺麗に仕上げようと思ったら 相当難儀な代物です。

まず部品をライナーから外す時に グニャリと曲げてしまいやすく、一度曲げてしまうと シャープな仕上がりは期待出来なくなります。

o0405072012685692951


細かい作業なので、目が悪いと、光る金属が乱反射して、結合部分が見えません。

なにしろ 素材が柔らかいので組み立ての時に 力を入れ過ぎると
またしてもグニャリと・・・

たったこれだけのパーツを組み立てるのに
1時間も掛かってしまいました。

皆さんも良かったら是非お作り下さい。

o0405072012685692975

とても素晴らしい設計と造型ですね。

大統領の料理人・・・

故フランソワ・ミッテラン元大統領のプライベート料理人として約2年間 エリゼ宮の厨房で腕を振るった ダニエル・デルプシュの実話に基づいた物語。

o0405072012681254044

先日の定休日に見てきました。

「En japonais, il est possible de le décrire avec un seul mot : o-mo-te-na-shi.」

先週末 滝川さんが、フランス語で
スピーチなさったこの言葉。

実はフランス人のフランス料理料理人にも根付いています。

冒頭でご紹介したダニエル・デルプシュさんが正にそうで、ミッテラン大統領の身体を気遣い、表にはあらわれない部分でとても尽力されていました。
詳しくは 映画をご覧ください。

表立ってするのが、サーヴィス。
これはヨーロッパの得意分野。

ゲストに気を遣わせず、気付かれず、ふっと思い返した時に はっ、と思い当たる、ゲストがボーッとしてたら
“気付けない”のがおもてなし。

日本人の得意とするところです。
フランス料理の世界では その垣根は無くなりつつあり、日仏両国共に学びあえる分野だと思います。

ところで、

劇中 厨房で祝杯を挙げるシーン。

「ルイ・ロデレール クリスタル」が
ミッテラン大統領の一番好きなシャンパーニュとして登場します。実際 そうだったのですが、当時失業率の高かったフランスでそれを言うと少し不謹慎に取られたかもしれません。

o0405072012681254051


高価なワインですから。

そこで、任期中 公式シャンパーニュとして白羽の矢が立ったのが
「テタンジェ」

o0405072012681254056


勿論 ノンヴィンテージ。

公式には、ミッテラン大統領は テタンジェを愛飲していたといわれています。
公には・・・

私は、ミッテラン大統領任期中に渡仏の機会が多かったので、公式晩餐会と言えば
「テタンジェ」のイメージがついてます。
(オープンして7年間、エピのハウス・シャンパーニュはテタンジェです)

フランス本国で近年再評価されている故フランソワ・モリス・アドリヤン・マリー・ミッテラン元フランス大統領。

ここに来て、色々と本当の事を公表出来る時が来たようです。

「バベットの晩餐会」、
「料理長殿御用心」、
「ディナー・ラッシュ」、
「厨房で逢いましょう」、
「リストランテの夜」、
「マーサの美味しいレシピ」、
「ラスト・ホリデイ」等々料理が効果的に登場する映画は沢山ありますね。

「Les saveurs du Palais」(宮殿の味)
邦題「大統領の料理人」

フランス好きの料理人が見ておくべき映画が、また1つ加わりました。

「・・・・laissant à tous les visiteurs, des souvenirs pour la vie.」

滝川さんがスピーチの最後を締めくくったフレーズですが、Les Visiteurs, の部分を Les Cuisiniersに代えれば、これらの映画を見終わった後の感想として 相応しいかもしれません。

ワインにまつわるお話・・・

太陽王 ルイ14世を語るとき、引き合いに出されるワインは
シャンパーニュとブルゴーニュワインです。

以前このブログでシャンパーニュの方はご紹介しましたので
今回はブルゴーニュ。


病気療養中のルイ14世に 主治医のファゴンが 「毎日スプーン一杯のロマネ・コンティを、のませた」話は、逸話として有名ですが、実は、厳密に言うと 間違いです。

何故なら1688年頃、
その畑は単に「ロマネ」と呼ばれていて、現在のように一般的にロマネ・コンティと呼ばれる様になったのは、1794年頃なので若干ニュアンスが違って聞こえます。
(コンティ公ルイ・フランソワ・ド・ブルボンがロマネの畑を購入したのは1760年ですが、ロマネ・コンティと呼ばれるのはそれから30年の月日がたったあとの事でした)

正しくは、「後にロマネ・コンティと呼ばれる事になる~云々」です。

(ちなみにその前の1512年頃は
クルー・デ・サンク・ジュルノーと呼ばれていて、16世紀半ばにはクロ・デ・クルーという名前だったそうです)

もうひとつ、ファゴンはルイ14世の座骨神経痛に侵されていたと思われた 足をブルゴーニュワインでじゃぶじゃぶ洗っていたようですが、その話はあまり知られていません。

実際 王は座骨神経痛ではなく壊疽にかかっていて、その誤診と誤った治療が原因でルイ14世は亡くなりました。

ジュヴレイ・シャンベルタン村の特級畑シャンベルタン グラン・クリュで知られた話は、ナポレオン・ボナパルト。

遠征の際、携えていた話は有名です。

伝わっている話は、「ナポレオンはシャンベルタンがお気に入りで~云々」ですが、
若干違うようです。
現在は、歴史認識がしっかりしてきて

ナポレオンは実はアルコールがあまり飲めなかった事、

携えたシャンベルタンを水で薄めて飲んでいたこと、

自分の右腕だったクロ・フランタン将軍の実家で造っていたワインがたまたま シャンベルタンだったことがわかっています。

今でも その名前は、アルベール・ビショー社のラインナップに残っています。
アルベール・ビショー ドメーヌ・デュ・クロ・フランタン シャンベルタン グラン・クリュ。

その畑のワインその物をナポレオンが飲んでいたかどうかは今となっては わかりませんが、思いを馳せて頂けば感慨深い事請け合いです。

ナポレオンの名誉のために申しますと、
当時の赤ワインは今のように澄んでなく もっと濃かったようですから、
仕事中なら薄めて飲んでも致し方ないと思います。

o0405072012675176080

写真は、
ジュヴレイ・シャンベルタン村の

シャンベルタン グラン・クリュ。

ドメーヌ ペロ・ミノ 2009年、

ドメーヌ アルマン・ルソー1990年と

ヴォーヌ・ロマネ村

ドメーヌ ド・ラ・ロマネ・コンティ
1級ワイン

キュヴェ・デュヴォー・ブロシェ 2009年。

上記ワイン、エピでご注文頂けます。

2011年 ドメーヌ ユドロ・バイエ ボンヌマール グラン・クリュ・・・

先日 ご注文いただいた、ワインです。

ボトルに当主 ドミニク・ル・グエン氏のサインが入っていること、グラン・クリュのワインですので 流石にこのタイミングでの抜栓は早いかなど、色々と考えましたが 2011年は素晴らしい出来だということを現地試飲で知っていましたし、その希少性も相まって 年を追う毎に金額が上昇することも目に見えています。

販売のタイミングが掴めないでいると、
とてもワインを熟知していらっしゃるご常連のお客様がオーダー下さいました。

諸々ご理解頂けている方なので、抜栓の時と判断しお出ししました。

o0405072012672772844
熟成したときを想像できる、尖ったところが全くない球体のイメージ。

色は紫がかった赤。ドメーヌ試飲の印象そのまま。

物凄い香り。抜栓1時間後には 若いながらもグラン・クリュの、風格が漂っていました。

正に圧巻の、そして出色の出来栄え。

持っている方は幸運です。

F様、いかがだったでしょうか?
お裾分け ありがとうございました。