月別アーカイブ: 2014年1月

差し入れワインその他・・・

件のドンペリニョン 2003年ヴィンテージを筆頭に

1990年(送別会主役のバースディヴィンテージ)
ドメーヌ アンヌ・フランソワーズ・グロ
ヴォーヌ・ロマネ メズィエール。

2000年
ドメーヌ ルイ・カリオン
ピュリニー・モンラッシェ。

2004年
ドメーヌ カミュ・ペール・エ・フィス
ラトリシエール・シャンベルタン
グラン・クリュ。

2010年
ドメーヌ アンリ・エ・ジル・ルモリケ
ヴォーヌ・ロマネ
オー・ドゥ・スゥ・デ・マルコンソール。
プルミエ・クリュ

2011年
ドメーヌ ジョルジュ・ルミエ
モレ・サン・ドゥニ
クロ・ド・ラブシェール
プルミエ・クリュ。

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皆様素晴らしいワインを差し入れくださりまして有り難う御座いました。

シャンパーニュ地方に於ける2003年ヴィンテージの再考・・・

仲間の送別会の為に
後輩の斉藤君と奥様が魅力的な差し入れをしてくれました。

記録的な猛暑だった
フランスの2003年。
瓶詰めを諦めたシャンパーニュメゾンは数多かったです。

有名、若しくは大手グラン・メゾンと限定するなら
その年シャンパーニュをリリースした
ネゴシアン・マニピュランは、

MHD モエ ヘネシー ディアジオ
グループ

モエ・エ・シャンドン社
プレスティージュ・キュヴェ
ドン・ペリニョンのみ。

遅霜による収穫量の少なさと酷暑に起因した酸度不足で先行きが危ぶまれていた年。

醸造責任者のリシャール・ジェフロワ氏は

「難しい年だった」としながらも
「たとえ酸が少なくてもフェノールの成熟とミネラルがこれを補い、苦味や塩味によって別のハーモニーが、生まれる。」

と酸の不足を認めながらも今までにない魅力を持つであろう2003年のドンペリニョンを 今のところとしながらも
「22年間の醸造責任者人生の最大の挑戦、また一番印象に残った年だった」
と あるインタヴューで語っていました。
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前後に2002年、2004年のドンペリニョンを試飲していましたが2003年のそれとはストラクチャーと余韻、炭酸のアタックが大きく異なり 味のベクトル以外は別のキュヴェの様にも感じましたが、ジェフロワ氏 仰るところの
「例年とは違った別のハーモニー」
は存分に楽しめました。とても美味しい。

ともあれステンレス発酵の難しさを考えさせられるヴィンテージでした。

送別会で試飲した他のワインは次のブログで紹介させていただきます。

コルトン・シャルルマーニュ グラン・クリュ・・・

ところで

「《Acidification》アシディフィカシオン(補酸)・・・」

の回でもご紹介しましたが、猛暑などにより葡萄のマチュリテが進みすぎ糖度は充分だけれど酸が足りなくなってしまったとき、フランスのワイン法では補酸が認められていますがポリシーとして決してアシディフィカシオンをしないと決めている生産者も居ます。

ではどうするか?減酸効果を得るためのマロラクティック発酵を意図的にブロックするのです。

ブルゴーニュ地方でこの事を公言してやまないのがルイ・ラトゥール社。

最近様々なドメーヌの物を試飲する機会が多いコート・ド・ボーヌ
白のグラン・クリュ
コルトン・シャルルマーニュですが、
ルイ・ラトゥール社の
醸造責任者ボリス・シャンピー氏が

「コルトン・シャルルマーニュは豊満な風味とオイリーなテクスチャーがあるべきで、シャブリではないので酸はそこまで重要視していない、背後に感じられれば良い。」

と仰っていたのをある書籍のインタヴュー記事で目にしたことがあります。

もちろん 必要最低限の酸は備えた上でのお話しですが造り手によって大事にしている部分が随分と違うのですね。

つまりその造り手の意図を与して試飲すれば より一層ワインを飲む楽しみを感じられるのではないかと思います。

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コルトン・シャルルマーニュ
最大の所有者
ルイ・ラトゥール

コルトン・シャルルマーニュ
グラン・クリュ 1999年。

ボリス・シャンピー氏の前任者
ドゥニ・フェッツマン氏の作品。

新樽率100%にも耐えうる葡萄の成熟度は圧巻で オークの風味にワインが負ける事などありません。

そして頂いたこのワイン。
綺麗な酸と豊満な香りが漂う素晴らしいワインでした。

収量が極端に少ない場合の仕込み・・・

1ヘクタールに満たないような小さな作地面積からワインを造らなければならない場合・・・

例えばアルベール・ビショー社、
ドメーヌ デュ・クロ・フランタン名義の特級ワイン
リシュブール(約7.33アール)

同社はリシュブールの所有者中最小面積の所有者で、年間300本に満たない瓶詰めしか出来ません。
(以前の「DRC・・・から読み解くブルゴーニュワインの生産量・・・」の回で瓶詰め本数の説明をしています)

実際そこまで少ない量では物理的にピジャージュなどはできないのでは?と思い調べてみますと このドメーヌでは小樽に入っているマストを樽ごと人間が転がすそうです。

ドメーヌ ジョルジュ・ルミエの
ミュジニー グラン・クリュや

ドメーヌ フルーロ・ラローズの
モンラッシェ グラン・クリュ、

ドメーヌ クロード・デュガの
グリヨット・シャンベルタン グラン・クリュ
などはあまりの収穫の少なさから他のキュヴェとは違う造り方をしていることは以前にもご紹介させていただきました。

また梗まで熟していれば全房発酵で仕込めるので(梗は約70%が水分なので量が多くなります) 収穫の見極めも大切です。

もうひとつ。
梗を含めて発酵させるとその水分の多さから急激に温度が上がらずゆっくりと 酵母が傷まずに発酵するのでワインに良い結果をもたらすという考えもあります。

希少価値もさることながら、造り手の英知の結晶である少量生産のワイン。
探してでも手に入れたいワインのひとつです。

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コートドールのグランヴァンのを飲む会 その3・・・

最後はメインのワイン。

2010年渡仏の際2009年物を樽から直接頂き、マロラクティック発酵が終わったばかりのあの花畑の様な芳香に包まれた衝撃以来 このキュヴェの虜になりました。

熟成させたもの、リリース直後のものどちらもそれぞれの良さがあり
このキュヴェの懐の深さはいったい
どのくらいあるのか想像もつきません。

早飲みすると桁違いの愛想の良さを見せ、熟成させると壮大なスケール感でつつみ込む。後者の方だけ考えると真上に広がる ミュジニーグラン・クリュにとても近い(地理的な意味だけではなく)ワインだと思います。

抜栓後一時間程でようやく片鱗を見せ始めましたが 初めから取っつきにくさは皆無。

開いてからの香りと深い味わいにはこのワインが未だ一級ワインであることを忘れてしまいます。

昇格しない(させない)理由はわかっていますが いまだに試飲するとエチケットに記されているプルミエ・クリュの文字に違和感を覚えます。

試飲している間の参加者全員の感想が
「強い」「美味しい」「凄い香り!」
でした。とにかく圧倒的。

2006年物を一緒に試飲したメンバーがひとり居たのでヴィンテージ毎の違いを話し合う事も出来 有意義な時間でした。

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ドメーヌ ジョルジュ   ・ルミエ
シャンボール・ミュジニー
プルミエ・クリュ
アムルーズ 2010年。

0.40ヘクタールの畑から造られる

ドメーヌ
ジョルジュ・ルミエのアムルーズは

ドメーヌ
ジャック・フレデリック・ミュニエや

ドメーヌ
コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ

などに比べると非常に瓶詰め本数が少なく入手困難で 探すのにまず一苦労する事でしょう。

それだけに手に入れたときの喜びは尋常ではなくセラーに収まっているだけで楽しくなる数少ないワインのひとつです。

余談ですがボンヌ・マールとアムルーズがそのドメーヌのラインナップにある場合大概において試飲の順番はボンヌ・マールが先になりアムルーズはその後。

グラン・クリュに負けないプルミエ・クリュ。o0720040512807369142


低収量、厳しい選果、新樽率の抑制。

シャンボール在住のヴィニュロンだからこそ行き届く手入れ。

Domaine Georges Roumier

Le Premier Cru Chambolle Musigny
“Les Amoureuses”

間違いなくこのクリマを代表する造り。

お持ちになっている方は幸運です。

コートドールのグランヴァンを飲む会 その2・・・

ブラインドワインは会費とは別で
エピスタッフから2本!の差し入れ。
(参加者の方々は幸運でしたね)

先ず1本目・・・
ドメーヌ ドゥニ・モルテ。
ジュヴレイ・シャンベルタン
メ・サンク・テロワール 2005年。
(私の5つのテロワールの意)

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流通量の少なさ、ある事情により2年間しか生産されなかったことも相まって非常に貴重なワイン。
最初で最後の親子競作2005年。
まさか ブラインドに持ってくるとは思いませんでしたので、ヒントを聞くまでは全くわからずにただ美味しく頂いて終わってしまいました。

そしてブラインドワイン2本目。

スタッフの懐具合と前出のワインから
村名か一級で考えていたところさにあらず。

まさかグラン・クリュを差し入れで持ってくるとは一抹も考えていませんでしたから正解までに大変な時間を要しました。

参加者全員 香りと味わいで
ヴォーヌ・ロマネ村まではたどり着けましたが ヒントを聞くまでは広域から一級までの畑の名前を連呼していました。

「DRC が同じ畑を所有していて・・・」

DRC?まさか・・・
このヒントでグラン・クリュ決定です。

「この畑の総面積は約8ヘクタール」

これで
エシェゾーと
グラン・ゼシェゾーは候補から消えました。

残る畑は
ロマネ・サン・ヴィヴァンか
リシュブールのどちらか。

本当に?

次のヒント

「造り手はホテルを経営している資産家」

でようやく正解に辿りつきました。

この方はロマネ・サン・ヴィヴァンを所有していないので畑は
特級畑 リシュブール。

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ドメーヌ モンジャール・ミュニュレ
リシュブール グラン・クリュ
2007年。

意表をつかれました。

2007年というヴィンテージがそうさせたのでしょう 力強さもさることながら華やかな芳香は
ロマネ・サン・ヴィヴァンを、思わせる艶やかな素晴らしさ。

ワインは飲んでみてもわかりません。

次回ブログに続きます。

コートドールのグランヴァンを飲む会・・・

1月6日行われたワイン会の報告をさせていただきます。

シャンパーニュ

サロン 1999年ヴィンテージ。

コート・デ・ブランの
ル・メニル・スュール・オジェに居を構えるシャンパーニュ界の完全主義者
サロン。

社長ディディエ・デュポン氏の仰っている通り白ワイン用のグラスでいただきました。

非常に淡いゴールドの中に瞬く星の如き煌めき。
一口目は酸の強いシャープなフルーツを感じましたが、空気を含んだとたんに濃厚な洋梨や白桃を思わせる重厚感がよぎります。複雑極まりない味覚が後味に変わってもなかなか消えない余韻が更なる可能性を感じさせてくれました。

単一ヴィンテージ、単一葡萄品種、単一畑から造られるともすると単調に感じられるシャンパーニュですから、
本来はオーク樽の通気、香りを足したい所です。

しかしサロンは作品に余分な外的要素を加えないため1995年位からオーク樽の使用をストップしたそうで
ここは賛否が別れるところでしょう。

今のところ還元的にはなっていないですし複雑味も持ち合わせているのでこの試みは成功しているといって良いと感じました。

ドン・ペリニョン、
ポル・ロジェ、
シャルル・エドシック
など著名なメゾンはオーク樽を使用していませんが、それらは様々なヴィンテージ、葡萄、畑からのワインをアッサンブラージュして造られているので(一部キュヴェを除く)サロンの置かれている状況とはまた別の話ですね。o0405072012806690292

最高のシャンパーニュからワイン会はスタートしました。

次回ブログに続きます。

フォールームス・・・

ひとつの映画でこれ程までにシャンパーニュの名前を連呼している作品はそうそう無いと思います。

年末に部屋の大掃除をしていて見つけたDVD。
1995年のハリウッド作品
「フォールームス」

4つのショートストーリーがオムニバス形式で綴られたものです。

その最終章第4話
「ペントハウス ハリウッドから来た男」

の中で、クエンティン・タランティーノ扮する映画俳優チェスター・ラッシュが何度もなんども
「クリスタル」「クリスタル」と連呼しています。
皆様良く御存じ「ルイ・ロデレール」の
プレスティージュ・シャンパーニュ
「クリスタル」の事です。

以前にもご紹介したように映画の中では効果的にシャンパーニュやワインが登場人物の地位や収入を表す最も簡単な演出方法として使われますが、
恐らくあとにも先にもこの時の
クエンティン・タランティーノ以上に
シャンパーニュのキュヴェのみを連呼する様な演出は出て来ないのでは?
と思います。

ルイ・ロデレール クリスタルの凄いところは遠目に見ても透明なブテイユとゴールドのエチケット、キャップで同社のシャンパーニュだと判るところではないでしょうか。o0405072012803857431


何についてもですが長年に渡り物事を続けて行くことの偉大さを思い知った瞬間でもありました。