日別アーカイブ: 2013年5月12日

ボルドーのグラン・ヴァン・・・

何度か試飲した事があるワインです。

自分で購入、試飲したのは、
1990年の1本だけですが、あとは試飲会かワイン会での経験です。

ボルドーの中では5本指に入るくらい好きな銘柄ですが、
如何せん高価でいつでも飲めるわけではありません。

「はい シェフ。プレゼントだよ、これ飲んで~」


と言って先輩が持って来てくれたのは、見たところ どうやら
〈オールド・ヴィンテージ・ワイン〉

先ずはブラインドで頂きましたが、古酒であること以外、良い意味で突出した部分を感じない まるで球体のイメージ。

持てる要素が多すぎて、逆に何も掴み取れない感覚に陥ります。
(私の経験不足を鑑みても、です)

液体に重さは無く、す~っと体に染み入るこの感じは 抜栓を我慢し続けた人間にのみに許された
〈オールド・ヴィンテージ・ワイン〉
でだけの体験。

ただ 《サン・ヴァンサン》は気まぐれに目の前に現れてくれる事も有るようで、
今回 私の様な、我慢の足りない人間にも微笑んでくれました。


今回の場合、
天国の門番《サン・ぺトロ》ですか・・・

ヒントでワインは分かりましたが、まさか そのワインだとしたら、余りにも高価。

あり得ない・・・

「えっ?まさか・・・本当に?」

元々は混合品種として見られていた葡萄品種、
「メルロー」を95%~100%使用して造られている当時としては、常識はずれのワイン。

1945年からこのシャトーを単独所有していた
《マダム エドモン・ルバ》が、

「ボルドー5大シャトーより安価では、販売しません」

と言った話は有名です。


ニューヨークのレストラン
《ラ・パヴィヨン》に売り込みを掛けて、大成功を納めた
初代《ポムロールの奇跡》。

《ペトリュス》

その1985年物。o0405072012535633304
20年前に購入、
7年前に抜栓。の
1990年エチケット。

o0405072012535931498
サン・ぺトロが描かれています。

久しぶりに頂いた
グラン・ヴァン《ペトリュス 》。

1990年の《ペトリュス》に対する試飲記録に書かれた私の印象記とは、全く違う体験をさせて頂きました。

何気無く持って来るには、余りにも豪華なワインで驚きました。

フランス料理界の重鎮は、気前が良い方が多く、そのサプライズはいつでも私の想像を越えています。

Y先輩、ご馳走さまでした。

ちなみに、上記の ニューヨークにあった、
ケネディ大統領御用達のレストラン。

《ラ・パヴィヨン》と言われていますが、《パヴィヨン》は男性形の名詞ですので本来は
《ル・パヴィヨン》です。

店名にする位ですから、辞書は調べたと思いますので、単にオーナー
《アンリ・ソーレ氏》の
「言葉の響きの好み」でそうしたのでしょうね。

 

モンラッシェ グラン・クリュ・・・

前回のブログ、《アムルーズ》のお話し。

最後の

「靴に泥が・・・云々・・・」

の説ですが、女性形か、男性形かの問題は相変わらず残ります。

この説の場合、本来は男性形の
「Les Amoureux(レ・ザムルー)」で良かったのだと思います。

しかし、フランス語を勉強をしているとしばしば有る事例ですが、

《会話の流れ上》

《収まりの都合上》

《語感の良さ》

最も大事な《発音のしやすさ》

が優先されて、文法上の決まり事は、完全に無視されます。

〈エディット・ピアフ〉などの時代のシャンソンは良い例で、歌いきる場合 語尾がフェイドアウトする文言だと譜割の帳尻が合わせにくいし、感情が込めにくいし、収まりが良くないので、歌うときは本来の歌詞と違うのは当たり前です。
(女性形を当てはめたり、複数形に変えたり、変な言葉で余白を埋めてみたり)


したがって、フランスでは、

『Les Amoureuses(レ・ザムルーズ)
の方がきこえが良いでしょ?
伸ばして終わるのではなく、
“ズ”で終わるから収まりも良いし、
何よりも言いやすいし・・・』

位の感じで女性形になったのだと思います。

フランスは例外が多いのです。

本当の語源は誰にもわかりませんが・・・

やはりここは「恋する乙女達」でお願いします。

親しくしていただいている
ブルゴーニュ サントネイ村の
〈ドメーヌ フルーロ・ラローズ〉

《モンラッシェ グラン・クリュ》の所有者としても知られています。

〈ドメーヌ ド・ラ・ロマネ・コンティ〉社の
(グラン・クリュ街道を背にして)
真右隣に広大な区画を所有していましたが、斜面に対して水平方向に5分割して3~4ドメーヌ

〈ドメーヌ ルフレーヴ〉

〈ドメーヌ エドモン・ドラグランジェ・バシュレ〉(その後さらに2つに分割される)

〈シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ〉に売却して

今は0.45ヘクタールの畑から極少量、瓶詰め販売されています。

o0405072012534903605


生産本数年間280本から300本。超稀少ワインです。


《ル・モンラッシェ》
《モンラッシェ》、合わせて16人の所有者が居るクリマですが、
ワインを造っているのは15人。
わずか0.04ヘクタール所有の
〈シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ〉などは、余りにも畑が小さすぎて年間わずかに150本弱。

《モンラッシェ》のクオリティを保つのは、大変だと思います。

シャサーニュ側の
〈ドメーヌ ジャック・プリウール。

o0405072012536181038ワインショップが多く立ち並ぶボーヌの街には、
《モンラッシェ》の全ての所有者を網羅した
《モンラッシェ》だけの素晴らしい本が販売されているので、見つけてみて下さい。

o0405072012535399978o0405072012535399992

その所有者全員が出席した

《モンラッシェ》所有者による食事会が何年か前に催されたそうで、その時の参加コードが 各々の
《モンラッシェ グラン・クリュ》
を2本づつだったようで、何とも豪華な宴だった事でしょう。

〈ドメーヌ フルーロ・ラローズ〉の建物は元々
〈デュヴォー・ブロシェ氏〉が所有していた建物で、つまり
〈ドメーヌ ド・ラ・ロマネ・コンティ〉社のワインは当時、この場所で “エルヴァージュ” されていました。

ピュリニー側は《モンラッシェ》

シャサーニュ側は定冠詞を付けて
《ル・モンラッシェ》

と言われていますが、
シャサーニュ側の区画を所有しているドメーヌでも男性形定冠詞
“ル”を今現在エチケットに記載しているヴィニュロンは僅に2人。
〈ヴァンサン・ジラルダン〉と
〈フォンテーヌ・ガニャール〉だけです。

あまり拘ってはいないようですが、そもそもこれはリューディ名であってクリマ名は、両村とも
《モンラッシェ》
なのでは?と思いますけど・・・
逆にリューディ名はエチケットに記載しない話では・・・?

余計なお世話でした。

〈ドメーヌ フルーロ・ラローズ〉の様に
1994年は《ル・モンラッシェ》
2004年はただ《モンラッシェ》とだけ書かれている、その様な事も有るようです。

o0405072012535400010


当主のニコラさんと奥様がエピに食事に来てくれたのは、本当に嬉しかったな~。