日別アーカイブ: 2013年5月6日

ドメーヌ エマニュエル・ルジェ・・・

畑の細分化については、色々とお話してきました。

ブルゴーニュには実は、その逆の話もありまして、とても稀な例だとは思いますが、

「3人のヴィニュロンだった叔父達が、子供が居ないか、引退したか、亡くなったりして、持っていた畑を正統に相続する人間が血縁関係者にひとりしか居ない」

という事例。

これは、3つに分かれていた畑がまた1つに戻る事を意味します。

実例をひとつ。

畑の持ち主は、
〈リュシアン〉〈ジョルジュ〉
〈アンリ〉

といえば次に来るファミリーネームは、《ジャイエ》。

相続したのは甥で
《ドメーヌ エマニュエル・ルジェ》 当主の
〈エマニュエル・ルジェ氏〉。

相続によって一番恩恵を受けた
キュヴェは、ヴォーヌ・ロマネ村のAOC、(フラジェ・エシェゾー村の)
グラン・クリュ 《エシェゾー》。

リュー・ディ 〈レ・トゥルー〉
リュー・ディ 〈クロ・サン・ドゥニ〉
リュー・ディ 〈レ・クリュオ〉
から造られる
このドメーヌの《エシェゾー》

以前は
〈レ・クリュオ・デュ・ヴィーニュ・ブランシュ〉のみで仕込まれていましたが 現在は、フィネスを備える2つのリューディが加わり骨格に加えて優雅さが表現されているように思います。

そもそもエシェゾーの区画が現在の大きさになったのは、1937年のAOC制定時にフラジェ・エシェゾー村がヴォーヌ・ロマネ村のAOCに統合された事が事のはじまり。

自村のAOCが名乗れないフラジェ・エシェゾー村のヴィニュロン達に対し、
その見返りにとINAOはこの村にそれまでの10倍にもなる面積の特級畑エシェゾーを与えて事なきを得ました。

元々の エシェゾーは、
リューディ〈エシェゾー・デュ・ドゥス〉 のみ。

(一部が《グラン・ゼェシェゾー》と隣接していて、それ以外の周りを
《エシェゾー》になった9の他のリュー・ディが囲っています)

ポテンシャル的には北隣の畑、
リュー・ディ 〈プーライエール〉も含まれるでしょうか。

グラン・クリュとして
コート・ド・ニュイに於て
《クロ・ド・ヴージョ》に次ぐ
2番目の大きさの畑面積。

これだけ広大な畑から造られるワインの量は膨大で、選ぶのに一苦労しますし、何より品質のバラツキが大きいです。

間違いの無い《エシェゾー》を選ぶ時、
先ず考えるのは
「その造り手が所有している
《エシェゾー》のリュー・ディはどこか?」です。

上記2つのリュー・ディ以外は、本来の《エシェゾー》の姿を表現していないものが多いといわれています。


全てのリュー・ディに均等に畑を所有していれば良いのですが、手元の資料では そういったドメーヌはありません。

有名なドメーヌ物の
《エシェゾー》なら、間違いなく美味しいと思いますが

本来の《エシェゾー》を垣間見たいのでしたら、
超一流ドメーヌ物の
《エシェゾー》をお薦めします。

ヴォーヌ・ロマネ村のグラン・クリュの中でも一番お手頃なワインですから、造り手が超一流でもそんなに高く無いのです。

このキュヴェの良いところですね。

そして、ご多分に漏れず 一流処の所有区画は、往々にしてリュー・ディ 〈エシェゾー・デュ・ドゥス〉か、
リュー・ディ 〈プーライエール〉を所有しているものなのです。
ちなみに、
リュー・ディ 〈プーライエール〉の
殆どはDRC社が所有していましたし、

o0405072012527522036

リュー・ディ 〈エシェゾー・デュ・ドゥス〉の大地主は《ドメーヌ モンジャール・ミュニュレ》です。

ただ グラン・クリュのワインは
ワイン法上、エチケットにリュー・ディ名を入れてはいけない事になっているので、誰がどこの区画を所有しているかは、調べないとわかりません。

(〈ドメーヌ ジャン・タルディ〉
の《エシェゾー》にはリューディ名
〈レ・トゥルー〉が、

〈ドメーヌ アンヌ・グロ〉の
《エシェゾー》
には、リュー・ディ名
〈レ・ロワショス〉が記載されてしまってますけど・・・
ドメーヌに訪問した
2012年時点で、INAOからのお達しは無いそうです)

フランスは、例外が多いです・・・

「ワイン選びは面倒だな」とお思いの方には、お財布にも優しい広域ワイン、
《ドメーヌ エマニュエル・ルジェ》
でいうと、比較的広い範囲で収穫されている村名〈ニュイ・サン・ジョルジュ〉や
〈オート・コート・ド・ニュイ〉などはお薦めです。o0405072012527522050〈オート・コート・ド・ニュイ〉は一般的にいって〈ACブルゴーニュ〉に比べ、葡萄の栽培地域が拡がってない分若干高めですが、その恩恵によりニュイの特徴をよく表せるポテンシャルを持ち合わせているカテゴリーのラインナップだと思います。

《アンリ・ジャイエ氏》の畑と造り方を継承しているドメーヌですのでとても人気があり、《ニュイ・サン・ジョルジュ》 クラスから上のキュヴェは、並の生産者の同キュヴェの (仕入値で) 2倍近く高値ですが、その価値は有ると思います。

そしてこのドメーヌのワインは、何年のどのキュヴェでも 開くまでに相当時間が掛かりますので、抜栓時間が美味しく飲むための鍵を握っていると言っても過言ではありません。

話が逸れました・・・

リュー・ディを調べるため、
やはりブルゴーニュに行って確かめて来ないといけません・・・
あくまでも仕事で・・・