月別アーカイブ: 2013年3月

《Elevage》エルヴァージュ(熟成)・・・

育児に対しても使われる言葉で、造り手との会話で出てきたら、ワインの熟成の事になります。

葡萄の成熟等は、マチュリテ。

この2つ 会話の中に良く出てきます。

あとひとつ、アシディテ(酸度)。酸の話題はブルゴーニュでは欠かせません。

で、エルヴァージュですが、
ドメーヌでの樽熟成、瓶詰めされてからの熟成、リリースされてからの熟成があるわけですが、私達に関係しているのは最後のエルヴァージュです。

これが なかなか出来ない。

飲みたくて購入しているのですら、目の前のセラーに入っているワインは飲んでしまうんですね。

かといって、既にオールド・ヴィンテージになったワインをショップで探すと、遥か雲の上の話になっていたりして 手が出ません・・・

(リリース直後に購入し、一度持っていることを忘れないといけませんが、在庫を忘れられる経営者などいないのです・・・)

このブログに良く登場している御存知マダム ルロワ。

この方のワインは、熟成させてこそ真価を発揮するワインの筆頭と言われています。

では、どの位前のヴィンテージなら マダム曰く飲み頃なのでしょう。

ヒントが2012年11月20日の正規代理店による《ルロワ社》の垂直試飲会にありました。

ニュイ・サン・ジョルジユ

シャンボール・ミュジニー

ヴォーヌ・ロマネ

ジュヴレイ・シャンベルタン

ポマールのそれぞれ

1972年
1982年
1992年
2002年ヴィンテージの垂直試飲です。

例えば、「1972年の《ニュイ・サン・ジョルジユ プルミエ・クリュ シャブッフ》は十分に花開いていて美味しく飲めるが、まだ熟成の要素が残されている。」

「1982年の《シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ レ・シャルム》はまだワイン要素の形成中であり赤ちゃんの様なものである。」

と《ルロワ社》
取締役のフレデリック・ロメール氏が仰っていたらしいので、1992年、2002年は察して知るべしです。

(因みに《ドメーヌ ルロワ》は起業が1988年。

その年が初ヴィンテージですので、一番の古酒でもまだ25年熟成です。

こちらのワインは、《メゾン物》より早飲みが出来る事で知られていますので、25年熟成なら素晴しい味覚体験を得られると思います)

そして、《メゾン物》のオールド・ヴィンテージでしたら雲上の金額ではありませんから、1970年代の《メゾン ルロワ》を見つけたら迷わず買いですね。
勿論 《メゾン物》でもグラン・クリュになると話は別で、遥か彼方の代物です。

ルロワ社が在庫している一番のオールド・ヴィンテージは1919年だそうですが、販売はしないのでしょうね。

因みにDRC 同様、各ボトルにシリアルナンバーが印刷されています。o0405072012475628778以前抜栓した、1995年の《メゾン ルロワ》広域ワインは、まだまだ熟成途中だったのでしょうか・・・

o0405072012475628792


とても綺麗に造られたワインでした。

前回のブログでご紹介した 《ドメーヌ物》の グラン・オルディネールを早速オーダー頂き、ご相伴にあずかりました。

何処の村の葡萄であるか一目瞭然。

香り、味、骨格、どれをとってもヴォーヌ・ロマネ村のそれで、熟成が進んだ時にタンニンの要素が残っていれば、複雑さを兼ね備えたコスト・パフォーマンスの良いワインになると思います。

Mさん御馳走様でした!o0405072012476108045

 

ドメーヌ ルロワ 《ブルゴーニュ グラン オルディネール 2010》・・・

「メゾン ルロワ」 が造る 《グラン・オルディネール》はショップなどでよく見かけて有名ですが、ドメーヌ物となるとご存知の方は多くないのでは無いでしょうか。

「メゾン」は、買い葡萄、買いワインをルロワ社が熟成、瓶詰め、販売している部門なのに対して、「ドメーヌ」は一貫して自社畑の葡萄から醸造、熟成、瓶詰め、販売をしています。o0405072012474787810「ルロワ社」の日本正規代理店にお邪魔して、諸説ある 「ドメーヌ ルロワ」 《グラン・オルディネール》に使用している葡萄の畑名やアッサンブラージュの加減など伺ってみたところ、全く明かされていない様で、知り得ませんでした。

が、しかし「ドメーヌ ルロワ」は《グラン・オルディネール》をそれ用に仕込んでいるのでは無く、「実はあるワイン達を樽から瓶詰めするときに “どうしても樽に残ってしまう最後の方のワイン” だけを集めて瓶詰めしたもの」らしい事が判りました。

その「あるワイン」が何であるのか マダムに直接伺ったそうですが

「そんな事 どうでも良いではありませんか、ちゃんとブルゴーニュの味がするでしょう?」

とあしらわれたそうです。

「ルロワ社」 最大の顧客であるアメリカにも出荷していないワインが、日本でのみ購入可能なのは、パートナーシップを始めて40年の日本企業との信頼関係が大きく影響していると思います。

私はそもそもワインは早飲みが好きなのですが、例えばそのワインの造り手が「偉大なワインは、熟成させてから飲みなさい。早いうちに飲むのは罪深い過ちです」とまで仰っている場合は、熟成しているものを飲むようにしてます・・・
マダム ラルー・ビーズ・ルロワの事です・・・

(実際、十分に熟成したグラン・ヴァンを飲むと異次元の味覚体験が出来、複雑さ、深さ、包み込むような球体のイメージに圧倒されます。

本当は私も古酒が大好きなのですが、それを好きになってしまうと財力が持たないという 情けない事情で興味が無い呈を装おっている次第です)

そんな中、この《グラン オルディネール》は、「偉大なる普通のワイン」と訳す事も出来ますから、普段飲み用の早飲みしても良いワインなのです。

「ドメーヌ ルロワ」 で最も入手しやすい価額ですが、瓶詰め本数2010年で1512本・・・如何せん数が少なすぎます・・・o0405072012474907536

この機会にどうぞ。

ドメーヌ ポンソ・・・

前回のブログ中、《ドメーヌ ポンソ》、《ドメーヌ フランソワ・ラマルシュ》の”ボトルネック”が特徴的であると書きました。

デュアン・オールマンを思い出した方は私と同世代ですね・・・

話が逸れました。t02200391_0405072012473314857左の《メゾン ルロワ》に比べて右の《ドメーヌ ポンソ》はネック部分が細長くなっています。
t02200124_0720040512473396638この形状のブティユを使用していて有名なのは《ドメーヌ ポンソ》ですが、こうして並べると右端の《ドメーヌ フランソワ・ラマルシュ》も2009年から似た瓶を使用しています。
ドメーヌ モンジャール・ミュニュレ、ドメーヌ シルヴァン・カティアール 等もこの形状のブティユで、最近増えていますね。

理由は・・・
「コルクが瓶の内壁に対して完全に密着するように」です。

より良いワインを造る為の拘りはまだまだ尽きないようです。

ただひとつ困るのは・・・

内容量が同じですから、瓶の高さが同じで首口が細ければその分 胴廻りは太くなり、それにより既存のワインセラーに綺麗に収まらなくなることでしょうか。

既成のワインセラーは細身のボルドー用ですから。

ドメーヌ デ・シェゾー・・・

ワイン新着情報・・・

ドメーヌ ローラン・ルミエ
《オート・コート・ド・ニュイ・ルージュ 2010年》

このドメーヌは最近特に評価高いです。

o0405072012471075683メゾン ルロワ
《AC ブルゴーニュ シャルドネ 2002年》
マダム ルロワが稀少なバックヴィンテージをリリースしてくれました。

ビオディナミ特有の還元香がお好きな方に・・・時間をかけて召し上がって下さい。o0405072012471075726
ルイ・ラトゥール
《シャンボール・ミュジニー 1999年 ドゥミ・ブティユ》
ネゴシアンとして有名なルイ・ラトゥールですが、ドメーヌとしても優れたワインを造り出しています。o0405072012471075795例えば、先日抜栓の機会に預かったヴォーヌ・ロマネ村 特級《ロマネ・サン・ヴィヴァン》に関して言えば、所有畑の好立地と併せて出色の出来栄えです。

何しろ100年前から使用している醸造用のオークファーメンターを洗浄するときに使用するのは 《水》では無く、なんと《ロマネ・サン・ヴィヴァン》そのもの!
乾燥後の殺菌、消毒もマールで行うという拘り。

そんなこと出来るのは大手のルイ・ラトゥールだけです。o0405072012471075889で出来上がったワイン、ルイ・ラトゥール《ロマネ・サン・ヴィヴァン “レ・キャトル・ジュルノー”》は、ロマネ・サン・ヴィヴァン の本質というかテロワールを一番表現していると思います。

(ロマネ・サン・ヴィヴァン につてはまた別の機会に・・・)

ドメーヌ フランソワ・ラマルシュ
《クロ・ド・ヴージョ 2010年》
ご存知 ヴォーヌ・ロマネ村 特級モノポール《ラ・グランド・リュ》の造り手。
跡取りのご長男を亡くし、急遽ドメーヌを仕切る事になった若い妹のニコルさんが職人達を切り盛りするのは大変そうですが、ご自分の造りたいワインのヴィジョンを明確に持っていて、前当主フランソワ氏と毎日意見を激しくぶつけ合っているそうです。
将来に向けて更に楽しみなドメーヌです。

ドメーヌ フランソワ・ラマルシュについてはまた次の機会に・・・o0405072012471075960                 ドメーヌ デ・シェゾー
《グリオット・シャンベルタン・グラン・クリュ 1994年》
実はこのワイン、当時メタイヤージュで《ドメーヌ ポンソ》前当主のジャン=マリー・ポンソ氏が造った逸品。

シャンベルタン村の9つあるグランクリュ畑で一番生産量が少ないキュヴェで (マゾワィエール・シャンベルタンは件の理由で例外とします)

《ドメーヌ クロード・デュガ》

《ドメーヌ フーリエ》や

《ドメーヌ ポンソ》の作とあれば

供給が追い付かない程の超稀少ワインです。

(《ドメーヌ フランソワ・ラマルシュ》と《ドメーヌ ポンソ》の独特なボトルネック部分の形状についてはまた別の機会に・・・)o0405072012471076034ドメーヌ ポンソの造りなる事がエチケットに記されています。o0405072012471156695
以上の5種が入荷しました。
ご興味あれば是非この機会に。

《Acidification》アシディフィカシオン(補酸)・・・

あまりにも長い日照時間と高い気温は葡萄の糖度の為には良いのかも知れませんが、ストラクチャーを形成する要素の酸は備わりません。

そのままワインを仕込むと 骨格の無いぼやけた味わいのワインになってしまいます。

フランスのワイン法で補酸、補糖のどちらかだけなら添加を認められているので、足りない要素を規定量以下で補う事は何ら問題無いのですが、葡萄のポテンシャルだけでワイン造りが出来れば それに越したことは無いはずです。

理屈では糖度が上がってくると酸が下がり始めるわけですからシャンパーニュ地方は往々にして収穫が早目で、そのことにより シャンパーニュ地方の生産者にとって大事なのは「葡萄の酸」なのだという事が理解出来ます。

シャンパーニュ地方 葡萄の収穫日は、酸の状態で決められていると言っても過言では無いです。

「補糖 (糖はアルコールに変わり残らないので) はするが、補酸 (不自然な味覚が残ると修正がきかないので) は絶対に行わない」
と強い拘りを見せるメゾンも少なくありません・・・

2003年、フランス史上53年ぶりとなる猛暑が葡萄産地を襲い、パリではその暑さで亡くなった方もいました・・・それほどの酷暑だった2003年・・・

皆様ご存知の通り、シャンパーニュは先ず白ワインを造り

(ロゼを”アッサンブラージュ”で造るときは赤ワインも・・・)

次にシャンパーニュ製法にしたがって瓶詰め熟成をさせます。

その白ワインを造るときの葡萄に酸が不足している場合は「マロラクティック発酵をブロックし減酸効果を抑え”酸”を確保する方法」を採り、事なきを得ている様です。

前途の理由でやはり酸が不足気味だった2003年、多くのシャンパーニュ・メゾンがヴィンテージ・シャンパーニュの仕込みを諦めた中、 モエ・エ・シャンドン社トップ・キュヴェ醸造最高責任者 リシャール・ジェフロワ氏 は2003年ヴィンテージのドン・ペリニヨンを瓶詰めし、愛好家達を驚かせました。

本来ヴィンテージ・シャンパーニュは、優良年のキュヴェしかリリースしない物ですから 巷でもかなり話題になりました。

しかし何故 幾らか平均的だった2001年はリリースせず さらに条件の厳しかった2003年を造ったのでしょうか・・・非常に興味があります。

エピでは酸とアルコールのバランスが絶妙にとれている2002年ヴィンテージをご用意しています。t02200391_0405072012466698318

ポル・ロジェ社 シャンパーニュ テイスティング・セミナー・・・

18日はかねてから楽しみにしていた シャンパーニュ・メゾン 《ポル・ロジェ》のテイスティング・セミナーにお邪魔してきました。

元社長のパトリス・ノワイエル氏と次期社長のローラン・ダルクール氏が参加者を出迎えてくれました。

試飲アイテムは次の通りです。

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《ブリュット・レゼルヴ・ノン・ヴィンテージ》

アッサンブラージュは ポル・ロジェ ファミリーとセラーマスターだけで決められる 門外不出の伝統調合。

(この一年で何度もエピのハウスシャンパーニュとして、お世話なっているキュヴェです)

《リッシュ・ノンヴィンテージ》

“ドザージュ”は1リットル当たり34グラムとかなり甘口で、アヴァン・デセールと併せるというよりも、このシャンパーニュ自体がデセールです。

《ピュア・ノン・ヴィンテージ》

こちらはうって変わって”ノン・ドザージュ”。凄くシャープな仕上がりで、葡萄のニュアンスがストレートに表現さています。

《ブリュット・ヴィンテージ 2002》

2002年収穫の葡萄のみで造られています。
アッサンブラージュは”ノン・ヴィンテージ”のそれと同じで伝統の方法に則って行われています。

《ブラン・ド・ブラン・ヴィンテージ2000》

2000年収穫のシャルドネ100%で造られた私の大好きなシャンパーニュ。
アタックが強く、食前はもちろんの事、食中に存在感を発揮するタイプのシャンパーニュです。

《ロゼ・ヴィンテージ 2004》

ポル・ロジェはロゼ・シャンパーニュを”セニエ”ではなく”アッサンブラージュ”で造っているようです。

「色が綺麗に仕上がるので」

とパトリス・ノワイエル氏が仰っていました。

最後は、このメゾン トップの

《キュヴェ・サー・ウイストン・チャーチル 2000》

現行ヴィンテージの1999年は数本抜栓していて、そのクオリティーの高さは存じ上げていましたが、来月リリースされる最新ヴィンテージは 勿論 初体験ですから 市場より一足先に試飲する幸運に預かり光栄です。

ピノ・ノワール主体のリッチで豊潤な芳香は1999年と似ていますが、シャープな酸をより多くたくわえていて2000年ヴィンテージの冷涼だった収穫前の30日を思わずにいられませんでした。

以上の7本。圧巻です。

ところで”ルミュアージュ”を手作業で行う事で有名なポル・ロジェですが、
聞くところによると 4人の動瓶専門職人が居て、一人あたりの1日の割り当てノルマはなんと5万本!・・・
4日~7日間行うらしいです。
気が遠くなります・・・

 

事前に用意していたプレステージ・シャンパーニュの《キュヴェ・サー・ウィンストン・チャーチル》を持ち込みまして、お二人のサインを頂戴し 記念とさせて頂きました。

         現社長 パトリス・ノワイエル氏
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          ローラン・ダルクール氏

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ローラン・ダルクール氏は、私が持参したサイン・ペンがお気に召したらしく、興味津々でしたので、差し上げたところと とても喜んで下さいました。t02200391_0405072012462920995
こちらこそ 高価なシャンパーニュを試飲させていただきありがとうございます!t02200124_0720040512462921027
右がパトリス・ノワイエル氏。
中央がローラン・ダルクール氏。
正規代理店のジェロボームさんお招きありがとうございました。

 

     業務連絡・・・宮永さん、皆様、本日はお疲れ様でした。t02200367_0240040012464053248

ドメーヌ ティボー=リジェ・ベレール・・・

現在、ニュイ・サン・ジョルジュの有志が集まり、1級畑 レ・サン・ジョルジュを特級畑にする為の活動が行われている事を以前の このブログで紹介しました。t02200391_0405072012459142418先日 ドメーヌ《ティボー=リジェ・ベレール》の1級 レ・サン・ジョルジュを抜栓しましたところ、その活動の一部を垣間見る事ができました。

t02200391_0405072012459142430
1級にして ブッションが既にグラン・クリュ用のと云うか高級ワイン用の5.5㎝。

左の村名と比べると0.5㎝長いです。

こう言う所からグランクリュの名に相応しいかどうか 主張して行くのですね。

外的要因

(土壌、地質検査の報告書はもちろんの事、過去のワイン関係の記事、他の生産者達の賛否意見書、生産施設の充実具合等条件を揃えた上で)

の他に 今直ぐに認可がおりても対応出来るよう 自ら出来ることは全て行っている様です。
5年後になるか10年後になるか・・・

楽しみです。

さてコルクの話でもうひとつ。

ドメーヌ《ジョルジュ・ルミエ》の2009年と2010年とでは、エチケットの紙質、ブッションの径などの変化が見られます。

仕入れ先(コルク業者)の仕様(都合)なのかもしれませんが、品質が向上しているのは良いことです。t02200391_0405072012459142437上が2009年、下が2010年の AC ブルゴーニュ・ルージュ。

打栓するのがとても大変そうな位ギチギチです。

因みに瓶の内径は変わらずです。

業務連絡・・・宮永侑佳さん、長い間お疲れ様でした。

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普段は絶対にサインをなさらない宮永さんがエピに置いてあるご自身の著書に昨年末サインを入れてくれました。

宮永さんありがとう!
火曜日会いに行くね。