湯水のごとく涌き出る資金力がある場合は別ですが、大抵は そんなに毎日
《DRC社》や《ドメーヌ ルロワ》
のワインを飲めるわけでは無いと思います・・・それでは、何を飲めば気分を味わえるか。
味覚は、個人ごとに千差万別ですので、
「《ロマネ・サン・ヴィヴァン》を飲んでみたいけど、今日はそんなに予算が無いのでルロワは無理そう・・・
というかそもそもリストに無い。どうしよう・・・」
と思っているとき、
店側に
「このワインは〈ルロワ〉の
《ロマネ・サン・ヴィヴァン》にとても似た味わいです」
と言われて、全く関係ない産地のワインを提案されても
「本当かな?」
と思いますし、いくらリーズナブルだからといっても ちょっと興醒めです。
味覚はとても不確実で、他人と共感するのが難しいカテゴリーですし、一番好みが出やすい分野でもありますので、無責任な提案はなるべくしたくありません。
でも何とかして、高嶺の華のワインに近づきたい。
醸造方法や除梗、全梗での発酵の違いで共通点を無理矢理関連付けるのは、やはり
「本当かな?」
と思われてしまいます。
樽のトースト加減ひとつで印象は大きく変わることがわかってますから、開けてみないとわからない状況でのお薦めは出来れば避けたい。
となると、客観的事実として不動なものはただひとつ
「テロワール」
これなら地図上で物理的に説明がつくし主観は排除出来るので、細かなニュアンスが伝わったかどうか心配する必要がない。
つまり、例えば 〈ドメーヌ ルロワ〉の真隣の畑で《ロマネ・サン・ヴィヴァン》を造っているのは誰?ということ。
(仮に味わいのベクトルが違ったとしても、飲み比べるわけではありませんし、隣の畑と知って飲むのは、感慨深いものがあります)
よく言われている
「ブルゴーニュは道を一本隔てただけでワインには違いが表れる」
その通りなのですが、近年は
「造り手の技量、センス、葡萄の栽培方法によってもワインは変わる」
を付け加える必要があります。
成る程、どのみち 「造り手が違えば全く違うワインになる」のだったら
「せめて畑は近いほうが良い」
それが半額か、それ以下で飲めるなら納得して頂く理由としては十分で、ブルゴーニュでは畑の所有区画はとても大事です。
《ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ》社の
《ロマネ・コンティ》は、とても高価なワインということで有名ですが、
道の一本隔てずに
《ラ・ロマネ》
《リシュブール》が有りますし、
マダム ルロワ仰る所の “田舎道” を挟んで良いなら、南方向に
〈ドメーヌ フランソワ・ラマルシュ〉の《ラ・グランド・リュ》
県道974号線方向に
〈ルイ・ラトゥール〉の
《ロマネ・サン・ヴィヴァン》があります。
上記のワインは、店売りで
《ロマネ・コンティ》より “ゼロ” がひとつ少ないか、それ以下。
《ロマネ・コンティ》の北隣は同じくDRC社の
《リシュブール》ですから、
〈ドメーヌ ティボー・リジェ・ベレール〉の《リシュブール》が有り、それは手が出ない金額ではありません。
ちなみに《ロマネ・サン・ヴィヴァン》、〈ルイ・ラトゥール〉の区画は《ロマネ・サン・ヴィヴァン》の中でも最高の区画といわれているのに、瓶詰め本数が多いい為 随分とリーズナブルですし、
〈ドメーヌ ルロワ〉と
〈アラン・ユドロ・ノエラ〉と
〈ジャン・ジャック・コンフュロン〉
の現在の所有畑は全て元々
〈ドメーヌ シャルル・ノエラ〉が所有していたひとつの畑でしたから、
まったくの地続きで、夏期剪定の前なら どこまでが誰の畑か見分けがつかない位ですので、予算にあわせて 《ドメーヌ アラン・ユドロ・ノエラ》を選び分けても理にかなってます。
冒頭に書いた 〈DRC〉と〈ルロワ〉はいささか極端な例としても、ヒエラルキーのトップを差し替えるだけで応用が効きます。
(グラン・クリュのすぐ隣のプルミエ・クリュとか有名なプルミエ・クリュの隣の村名畑とか)
前提としてまず どの畑のワインが飲みたいのか決まっている必要がありますが・・・
《クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ》の所有者区画表は何年かに1度改定され公表されていますが、それ以外の畑の所有区画は公にされていませんので、やはり現地に赴き地道に情報収集するしか無いようです。
ブルゴーニュに行かないと・・・
あくまでも仕事です・・・