《Acidification》アシディフィカシオン(補酸)・・・


あまりにも長い日照時間と高い気温は葡萄の糖度の為には良いのかも知れませんが、ストラクチャーを形成する要素の酸は備わりません。

そのままワインを仕込むと 骨格の無いぼやけた味わいのワインになってしまいます。

フランスのワイン法で補酸、補糖のどちらかだけなら添加を認められているので、足りない要素を規定量以下で補う事は何ら問題無いのですが、葡萄のポテンシャルだけでワイン造りが出来れば それに越したことは無いはずです。

理屈では糖度が上がってくると酸が下がり始めるわけですからシャンパーニュ地方は往々にして収穫が早目で、そのことにより シャンパーニュ地方の生産者にとって大事なのは「葡萄の酸」なのだという事が理解出来ます。

シャンパーニュ地方 葡萄の収穫日は、酸の状態で決められていると言っても過言では無いです。

「補糖 (糖はアルコールに変わり残らないので) はするが、補酸 (不自然な味覚が残ると修正がきかないので) は絶対に行わない」
と強い拘りを見せるメゾンも少なくありません・・・

2003年、フランス史上53年ぶりとなる猛暑が葡萄産地を襲い、パリではその暑さで亡くなった方もいました・・・それほどの酷暑だった2003年・・・

皆様ご存知の通り、シャンパーニュは先ず白ワインを造り

(ロゼを”アッサンブラージュ”で造るときは赤ワインも・・・)

次にシャンパーニュ製法にしたがって瓶詰め熟成をさせます。

その白ワインを造るときの葡萄に酸が不足している場合は「マロラクティック発酵をブロックし減酸効果を抑え”酸”を確保する方法」を採り、事なきを得ている様です。

前途の理由でやはり酸が不足気味だった2003年、多くのシャンパーニュ・メゾンがヴィンテージ・シャンパーニュの仕込みを諦めた中、 モエ・エ・シャンドン社トップ・キュヴェ醸造最高責任者 リシャール・ジェフロワ氏 は2003年ヴィンテージのドン・ペリニヨンを瓶詰めし、愛好家達を驚かせました。

本来ヴィンテージ・シャンパーニュは、優良年のキュヴェしかリリースしない物ですから 巷でもかなり話題になりました。

しかし何故 幾らか平均的だった2001年はリリースせず さらに条件の厳しかった2003年を造ったのでしょうか・・・非常に興味があります。

エピでは酸とアルコールのバランスが絶妙にとれている2002年ヴィンテージをご用意しています。t02200391_0405072012466698318