日別アーカイブ: 2013年10月11日

オリジナリティ・・・

日本の古典芸能、

落語。

皆様良くご存じの通り、一口に落語といっても様々な噺があるわけですが、
噺家さんによって、というよりは
流派、亭号によって
同じお題の噺でも少し、若しくは全く違う噺にかえて 独自な作品に昇華させています。
例えば、表現方法、時代考証をかえてみたり、
性別設定を少しいじってみたり、

さげ(おち)自体を変えてくる事もあります。

つまり 同じ 「饅頭こわい」 でも

「今度は熱い御茶がこわい」
だったり、

「今は渋い御茶が一杯こわい」
でさげてみたり。

立川流 故 立川談志師匠などは

「何がこわいんだい!」

「おちゃがこわいよ~」

と勢いで締めたりしていました。

落ちを聴いただけで何処の流派かわかったりするのですが、どなたの噺を聴いても全く違う噺のようで実に良いものです。

ですが長らく落語を聴いていますと、自然と「好み」というものが出てくるものでして、またそこにハマるのです。

「芝浜」は 三代目古今亭志ん朝 が一番。

という人は、「芝浜」を聴くときは、古今亭一門の「芝浜」を聴く。

とか いやいや柳家小三治だよ とか
六代目三遊亭円生を忘れてはいけないよ。

とか、熱狂的ファンが多いです。

演者さん(亭号)が大事ということですね。

熱狂的ファンといえば
ブルゴーニュワインの世界と、

相通じる所があるのでは?

などと勝手に思っています。

愛好家は 例えば、6月に葡萄畑に出向き、
リシュブールか
ロマネ・サン・ヴィヴァン、
エシェゾーを眺めてみる。
ひときわ 新梢を伸ばしっぱなしにしている、つまりロニャージュしていない畑は、

ドメーヌルロワか

ドメーヌ ティボー・リジェ・ベレールか

ドメーヌ ジャン・イヴ・ビゾーですから、ある程度 所有畑を特定することが出来ます。

同じ葡萄品種から造られるワインでも
ブルゴーニュほど 造り手によって
仕上がりに差が出る産地も なかなか無いといわれています。

しかし逆もまた真なりで、違う造り手でも 目指す完成形が同じなら、出来上がるワインもそう違わない仕上がりになるのではないでしょうか。

先日 出先で頂いた

ドメーヌ ダヴィド・デュバンの
シャンボール・ミュジニー
ヴィラージュ2009年と

ドメーヌ オーレリアン・ヴェルデの
ニュイ・サン・ジョルジュ
プルミエ・クリュ オー・ブード
2006年。

ヴィンテージも畑も造り手も全く違うのに、どことなく繋がりを感じるワインでした。

元グランプリ・ライダーだった
オーレリアン氏をワインの道に誘い、
父親であるアラン・ヴェルデ氏の後を継がせたのが
他ならぬダヴィド・デュバン氏。

オーレリアン氏は ダヴィド・デュバン氏の元で研修を受けた事もあり、
エチケットの配色、配置にリスペクトの念が込められている様にも思えます。

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ワインもまた然りで、抽出は濃くなく、
ミネラル感と余韻の佇まい、
清潔感溢れるその感じは
正にドメーヌ ダヴィド・デュバンのそれで、同門の気配が感じられました。

私が その事を知っていたから 無理矢理に近似値を探そうとして こじつけ たのかもしれませんが・・・知っていたからこそ、この2本を開けたとも言えますので・・・

いやはや実にブラインドで試してみたい
2ドメーヌですね。

手前事ですが、今回のブログを

エピの御客様で、うどんと蕎麦の食べ方の違いを実演して教えてくださった
大先輩。

10月7日に55歳の若さで亡くなった
七代目 古今亭志ん馬師匠に捧げます。