RD ・・・
Récemment Dégorgé
(レサマン・デゴルジェ)
「最近澱引きされた」の意。
ブテイユの裏エチケット上から2行目にはデゴルジュマンされた日付が記されています。
この個体の場合ですと 1991年2月18日に澱引きしたと書かれています。
ボランジェのフラッグ・シップ
優良年にしか造られない
「グラン・ダネ」用の
ヴァン・ド・レゼルヴを使用しているのでこちらも優良年にしか瓶詰めされず1952年の初収穫から現行ヴィンテージの2002年までの間にリリースされたのは僅かに24ヴィンテージのみ。
ここでひとつ疑問・・・
最近澱引きされた。
とはどういった事でしょうか?
輸入業者の資料を紐解いてみると
「デゴルジュマンされたばかりであるため、見事なフレッシュ感があります」
と書いてあります。
リリース直後に飲むならそれも謳い文句になるでしようが 今回の様にデゴルジュマンされてから23年経って抜栓した場合に
デゴルジュマンされたばかりです。と言われても・・・
ですから資料にあるようなフレッシュ感の件はさほど重要ではありません。
最近デゴルジュマンされた ということは 逆に言うと リリース直前までワインが澱に接触していたということで、極端にいえば
「スュール・リーの状態を長く保っていた」
という意味なのですね。
リスクのある方法ですのであまりにも長い接触は避けたいところですが 上手くすればワインに複雑さを与える素晴らしい手段です。
さて試飲。
32年前に収穫された葡萄で造られたこのシャンパーニュ
色は腰が抜けるような黄金色。
完璧な熟成による芳香。
スュール・リーの恩恵による奥行きと複雑さを如実に感じるのは、樽熟成の時に新樽を決して使用せず ブルゴーニュ シャンソン社(ボランジェ社のグループ会社経営)
の使用済み樽を敢えて使用し、無用なオーク香や過剰なタンニンがワインに移らない様工夫されている事がポジティヴに作用しているからでしょう。
熟成させたシャンパーニュの懐の深さをあらためて知りました。
これだけ保存状態の良いオールドヴィンテージシャンパーニュは珍しいのではないでしょうか?
Yさん 貴重なボトルをありがとうございました。