日別アーカイブ: 2013年11月28日

ヴァン・ド・グット、ヴァン・ド・プレス・・・

アッサンブラージュの概念は、至るところに存在していて一筋縄では行きません。

1985年物の瓶詰めまでは、一つ一つの樽から直接ボトリングされていた
DRC 社のロマネ・コンティでしたが、
ボトル毎の品質にバラツキ
(いわゆるビンむら)を指摘されていたため、幾つかの改善策を講じました。

ひとつは、
熟成樽6樽分をステンレス・タンクにひとまとめに移しボトリングする
「樽毎誤差平均化の実施」。

極上の部分を失う事になりましたが、

オベール・ド・ヴィレーヌ氏と

ラルー・ビーズ・ルロワ女史は

平均以下の個体を無くす事を優先したのです。

元々は同じ物ですが、状態が違ったワインを配合するのですから、
これもある意味アッサンブラージュ。

話は変わりますが、

発酵後、圧力をかけず自然に流れ出る
極上の液体部分を
「ヴァン・ド・グット」
(ワインの雫)といい特別扱いする事は皆様ご存知だと思います。

しかし、この部分は少しタンニンが足りません。

次に残った果皮と果肉を圧搾しますが、それを「ヴァン・ド・プレス」と言います。

1回目に搾られた液体の多くは、
「ヴァン・ド・グット」と同じ扱いになり 同じ樽に入れられ、

2度目以降の
「ヴァン・ド・プレス」は、別の樽で仕込みます。

この「ヴァン・ド・プレス」は、風味豊かで奥行きを感じるそうですが、
タンニンが強く それだけではあまり良いワインにならないようです。

ここでアッサンブラージュ。

極上部分の
「ヴァン・ド・グット」に

タンニンと風味豊かな
「ヴァン・ド・プレス」を配合し、

バランスの良いワインに仕立ててゆきます。

造り手のセンスが問われる部分で、ワイン好きがこだわる部分でもありますね。

残りの「ヴァン・ド・プレス」は別樽で熟成され、タンニンが落ち着いた後、蒸発や樽試飲などで目減りした本樽の補充に使われます。
ちなみに最後に残った果皮、果肉の部分は乾燥させ肥料にしたり、蒸留所でマールを仕込んだりするようです。

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エピでは、マールはもちろん、様々な食後酒を御用意しています。

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ドメーヌ メオ・カミュゼ クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ・・・

クロ・ヴージョ、
もしくはクロ・ド・ヴージョ。

呼び方の違いは 以前ご紹介した通り。

前者が比較的新しい所有者、

後者が1889年以降に初めて分割された時にこの畑を購入、所有した
15人のネゴシアンの子孫、末裔、の場合が多い様です。

しかし驚くことに 分割されるまで、
この村の80%以上の面積を占める
クロ・ド・ヴージョのグラン・クリュ畑は約700年にわたって単独所有畑でした。

1100年代に開墾した、

シトー派修道会、

1790年5月にナポレオン・ボナパルトに没収された後、

ジャン・ホカール、

ラヴェル家、

ウヴラール家、

の順で所有権は移り変わりましたが、
モノポールは守られていました。

当時モノポールだったクロ・ド・ヴージョの広い畑から、

良い区画の葡萄
(ミュジニーに隣接している畑上部)、

そこそこの葡萄
(中央部)、

普通の葡萄
(県道974付近の下部)、

をそれぞれ収穫し、
クロ・ド・ヴージョの名に恥じない
バランスの良いワインに成るよう、
アッサンブラージュしていたそうです。

これは、極端に言うとボルドーの考え方と同じですね。

今現在は80人以上の所有者が存在していて、バランスの良い葡萄の収穫、
ワインの醸造は難しいと思いますが、
中には 全ての区画を少しずつ所有しているドメーヌなどもあり、
ワイン選び時の参考にしています。

例えば、ドメーヌ ローラン・ルミエ、

ドメーヌ ルロワ、

表題のドメーヌ メオ・カミュゼ。

などなど。

特に ドメーヌ メオ・カミュゼは
クロ・ド・ヴージョ 2番目の大地主で、
品質の安定したワインを毎年造り続けています。

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御興味あれば幸いです。