偉大なヴィニュロン達・・・


かつて その言動、容姿、立ち居振舞いから「アンファン・テリブル」(恐るべき子供)
と呼ばれたヴィニュロンが居ました。

ワイン造りに関して とびきり謙虚な氏は、あるインタヴューの中で

「自分で育てた葡萄の果汁を細心の注意をはらい抽出し、樽に入れる。それだけで満足だ。」

と仰っていたのがとても印象的で 以来 氏の造るワインのファンになりました。

最後に育てた葡萄は、2008年。
樽入れ前の9月17日に52歳で惜しくも亡くなってしまいましたので、さぞかし残念だった事でしょう。
(五線譜に音符のエチケットでご存じの方も多いと思います)

才人ディディエ・ダグノー氏。

偉大なグラン・クリュのワインを造って欲しかった、テロワールを的確に表現できるヴィニュロンのひとりでした。

9月といえぱ、2006年の9月20日にアンリ・ジャイエ氏が亡くなっているので、ワイン好きには何か ただならぬ月という感じです。

2006年で思い起こすのは、1月30日に亡くなった ドニ・モルテ氏。

2004年が ドニ・モルテ氏お一人で造った最後のヴィンテージ。

2005年が親子競作。

2005年は良年と相まってなかなか入手困難だと思います。

毎年1月の氏の命日に開けている
2005年のマルサネ レ・ロンジュロワは年々深みを増し熟成のピークを迎えつつあるのではないかと思います。

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ストックが底をついてしまいましたので、探さないといけません。

ヴィンテージ・チャートを見て作柄云々よりも違うことに思いを馳せてしまうのは、
仕入れの際「誰が造ったのか」がワインにとってとても重要だからです。

土壌微生物学者である、
クロード・ブルギニョン氏が提唱した

「あなたがたの土壌では、いずれサハラ砂漠程にしか 生物が育たなくなる。」

の宣告に真摯に対応してきたヴィニュロン達が次々と亡くなり、先行きが不安になったところですが、現在は後継者、御子息達の活躍で評価を下げることなくワイン造りを続けてらっしゃいます。

もうすぐ9月。

今年はフランス ワイン界

最後の「アンファン・テリブル」
であり、ディディエ・ダグノー氏の友人

レコルタン・マニピュランの雄
「ジャック・セロス」
当主アンセルム・セロス氏のシャンパーニュで故人のご冥福を祈りたいと思います。