ブルゴーニュでは、オーナーの名前が会社名というか、ワイナリー名になっているのが当たり前ですが、もうひとつのフランスワイン銘譲地 ボルドー地方の有名どころで、
オーナー名がワイナリー名に組み込まれているのは たったの2件。
《シャトー・ムートン・ロッチルド》
若しくは、《ロートシルト》
または、《ロスチャイルド》
5大シャトー格付け筆頭の
《シャトー・ラフィット・ロッチルド》
以下同文。
国により《Rothschild》は上記の通り発音が変わりますが、どの読み方も日本では知られていますね。
ちなみに
《ムートン》と
《ラフィット》は同族の別人が所有しています。
ドイツ生まれの金融王
マイヤーA・ロートシルトの5人の息子のうち、
イギリス系のナサニエル男爵、
フランス系のジェームス男爵が
シャトー
(前者が《ムートン》、
後者が《ラフィット》)
を購入しました。
シャトーの名前に《Rothschild》を名乗ることは、当時そのワインに更なる付加価値を与える事になったそうです。
その後、
ナサニエル男爵の曾孫の故バロン・フィリップ・ロートシルト氏が様々な改革をもたらし、現在の《ムートン》の地位を確立したことは皆様ご存知の通りです。
一方ブルゴーニュ。
1967年 フランス政府はドメーヌがひとつの畑のワインしか 作っていない場合をのぞき、畑の名称をドメーヌ固有のものとして使用する ことはできないと決定したそうです。
ヴォルネイ村1級の有名な畑、
クロ・ド・ラ・プス・ドールを
当時モノポールで所有していた、
ニコラ・ポテル氏の父上
故ジェラール・ポテル氏のドメーヌは1967年までドメーヌ名と畑名が同じでしたが、上記の理由で変更を余儀なくされました。
ジェラール氏は、その有名な畑名
《クロ・ド・ラ・プス・ドール》の方を
ドメーヌ名
(《ドメーヌ ド・ラ・プス・ドール》)
として残し、
ドメーヌ名はそのままに、
畑名を《クロ・ド・ラ・ブス・ドール》に変えてしまうという逆転の発想的 荒業にでて、それを認めさせました。
(マット・クレイマー説、ロバート・パーカー・ジュニア説、諸説あるこの話ですが、2010年にお会いしたニコラ・ポテル氏に直接 事の真偽を確かめた所 上記の内容でした)
ところで、
《ドメーヌ デュ・クロ・デ・ランブレイ》
と
《ドメーヌ ド・ラ・ロマネ・コンティ》
も畑の名前をドメーヌ名にしていますが、全くおとがめ無しのようです・・・
フランスは例外が多いです。