例えば、
葡萄のマチュリテが平均的に進んでいない年などは、意図的に収穫を早めに始め、まだ熟していない酸度の強い葡萄を手に入れる。
次に収穫日を少しずらし糖度を上げた葡萄を収穫し、
二種類の葡萄をアッサンブラージュ。
(同じ畑の同じ樹の葡萄ですが、別物と考えて良いでしょう・・・)
そうすることにより、バランスの良いワインが造れます。
が、
遅摘みのリスク、(雨、遅霜、雹害、動物による食荒被害など)
房ごとの糖度の見極め、
選別の手間が掛かりますので誰しもが出来る事ではないですし、これが 最良の方法というわけでもありません。
しかし、実施しているドメーヌの方々は大変だと思います。
名声のあるドメーヌだから出来るとも言えますし、取り組んでいたから後々評価されたともいえます。
幾つか前に書いた優良生産者とは、
正にこの辺りのことも軽々クリアしている方々で、もっと言うと、良いワインを造るための労力は惜しまないと決心した人達の事だと思います。
2005年のような恵まれた美しいヴィンテージは、自然の流れを変えないように人為的介在は最小限に留め、敢えて何もしない。
難しいヴィンテージは 状況判断とありとあらゆる技術で、より良いワインを造る為の手段を講じる。
良し悪しは別にして、ヴィニュロンにとっては 難しい年はやりがいがあり、技術を試せる貴重な機会でもあるので、強く印象に残るようです。
また、例外的(優良年)なヴィンテージのお話を何人かの造り手の方に伺いましたが、皆さん口を揃えて仰ったのは、
分かってはいるが醸造所に於て
「何もしない勇気」
を持つことはとても難しい事。だそうで、アンリ・ジャイエ氏の後を追うのも並大抵の事ではないようです。
2005年は、正に勇気を持った優良生産者が大成功を納めたヴィンテージでしたね。
いずれにせよ簡単で、楽な年など無いということです。