モノポール・・・


ブルゴーニュのワインを注文するときに大事なのは 誰の?(造り手) ということです。 葡萄畑が隣でも造り手が違えば 全く別のワインになりますから・・・

ヴィンテージ、村、畑までが同じ名前のワインはそれこそ沢山在ります。 以前 ご紹介した ヴージョ村に於いては50以上の《クロ・ド・ヴージョ》もしくは《クロ・ヴージョ》が市場に出ています。

そんな所がブルゴーニュワインを難しく感じさせている所以なのでしよう。

まだあります ワインをお好きな方々なら一度は経験したことのある話ですが 「《シャンベルタン》 を注文したら 《ジュヴレイ・シャンベルタン》か運ばれて来た」・・・

よく聞きます。 グラン・クリュを置いてなくて仕方なく代わりにそれを持ってきたのならわかりますが、それならそう言うはずですから 多分違いをご存知無かったのでしょう・・・

《シャンベルタン》は往々にして高価ですから 私の様な身なりの人間がオーダーするわけ無いと思われたのかもしれませんが、せめて村名では無く”プルミエ・クリュ”を持ってきて頂きたいものです。

この行き違い 意外と多いので驚きます。
扱うのも注文するのも一苦労。
特に ジュヴレイ・シャンベルタン村は システムに例外的な事柄が多いので難しいです。 例えば 《シャンベルタン》を注文したとき 《シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ》が運ばれてきても不思議そうな顔をしてはいけません。

《クロ・ド・ベーズ》は”シャンベルタン”を名乗っても良いのです。

逆に 《クロ・ド・ベーズ》を頼んだのに 《シャンベルタン》を持ってこられたら 「いや お願いしたのは 《シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ》です」と正さないといけません。

《シャンベルタン》は”クロ・ド・ベーズ”を名乗れませんから・・・とか・・・

《マゾワイエール・シャンベルタン》は《シャルム・シャンベルタン》を名乗って良いとか・・・

ボルドーなら比較的簡単にピンポイントでお目当てのワインを頼む事が出来ます。
「2005年の《ラトゥール》下さい」で間違い無くそれが来ます 実はブルゴーニュにも有るんです。その位言葉少なにピンポイントで注文出来るワインが。

例えば 「2001年の《クロ・ド・ラ・ブシェール》下さい」と言えば テーブルには 「ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ 2001年 《モレ・サン・ドゥニ プルミエ・クリュ クロ・ド・ラ・ブシェール》 」
が間違い無く運ばれて来ます。
t02200293_0480064011590206730

例えば 「2005の《クロ・ド・ラ・ロックモール》下さい」

と言えば

「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ ルネ フルーロ・エ・フィス 2005年 《シャサーニュ・モンラッシェ プルミエ・クリュ クロ・ド・ラ・ロックモール》 」
t02200293_0480064011590206913

という白ワインが運ばれて来ます。
理由は”単独所有畑”で他に誰もこの名前のワインを造って無いからです。 エチケットには ”モノポール” とか ”プロプリエテール エクスクルーシフ” とか ”ソール プロプリエテール” とか色々な書き方で書いてありますが、意味は同じです。
t02200293_0480064011590207129

この”モノポール” 1級畑が圧倒的 (村名から下の広域は単独所有不可能ですから・・・

ムルソーの有名な造り手 ドメーヌ・デ・コント・ラフォンが<クロ・ド・ラ・バール>という”1級”では無く”村名”ですが畑名を名乗っている区画を”モノポール”で持っていたりしますけれど・・・) に多いのですが、幾つかの特級畑にも”モノポール”の畑があります・・・・・・・

ただでさえ高価な ”グラン・クリュ” の畑を”モノポール”で所有するのは大変に難しく、先ず誰かが手放してくれない事には始まりませんし 何より桁違いに高価ですから、個人レベルでの取得は無理でしょう・・・ (個人ですと亡くなられた時、相続で細分化されてしまう可能性が大きいので、会社組織で無いと譲っては貰えないはずです)

歴史にも残っている逸話で有名なのが 《ロマネ・コンティー》の畑です。 皆さま良くご存知の「コンティー公とポンパドール夫人が・・・云々・・・」の話です。

(この畑になると譲渡、売買の時に国が介入して来ます、フランスの宝ですから・・・マダム・ラルー・ビーズ・ルロワと日本の某有名百貨店の話はそれこそ有名ですね) 「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティー社」の所有畑である 《ロマネコンティー》は「DRC社」の モノポール畑です。

「DRC社」は他にもう一つ、《ラ・ターシュ》も ”モノポール” で所有しているので 世界でも1位、2位を争う特級畑を2つも単独所有している事になります。 ヴォーヌ・ロマネ村にはあと2つ特級で”モノポール”があります。
t02200293_0480064011590207324

《ラ・ロマネ》と《ラ・グランド・リュ》。
前者は 「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・べレール」、
後者は「ドメーヌ・フランソワ・ラマルシュ」が所有していて やはり高価です。
モレ・サン・ドゥニ村、モメサン社の”モノポール” 《クロ・ド・タール・グラン・クリュ》は、そこまで高価では有りませんが まずレストランには置いてないと思います。

話がそれました・・・

ブルゴーニュワインを「何を選んで良いか解らない」と思って敬遠している方は、これから”モノポール”のワインを選んでみるのも一つの手かもしれません。 「2005年のラ・ターシュ下さい」で済みますから・・・ 特級ワインは極例ですが1級のそれは”モノポール”だからといって値段が高いわけではありませんのでご安心を・・・